40年にもわたる長期連載が終了した後も根強い人気を誇り、スポットで読み切りマンガが掲載されている『こちら葛飾区亀有公園前派出所』。パリオリンピックの今年も「あの男」が登場しました。
TVアニメ版『こちら葛飾区亀有公園前派出所』キービジュアル (C)秋本治・アトリエびーだま/集英社・ADK
【画像】次はいつ起きる? こちらが4年に一度しか起きない『こち亀』日暮熟睡男です
長期連載によってイベントキャラになった男
2024年8月5日に発売された「週刊少年ジャンプ』(集英社)では久しぶりに『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(以下、こち亀)が復活しました。どうして今、『こち亀』が帰ってきたのでしょうか?
※この記事には2024年8月5日発売の「週刊少年ジャンプ」に掲載された『こち亀』の内容を含みます。
その理由は「日暮熟睡男(ひぐらし ねるお)」にありました。彼は警察の寮(ニコニコ寮)で常に眠り続けており、4年に1度しか出勤しない超能力者です。日暮は24時間以内の出来事を100%予知してポラロイドカメラに念写する超能力を持っており、そのおかげで4年に1度しか働かなくても警官をクビにされずにすんでいます。
彼がはじめて登場したのは1980年、モスクワオリンピックの年でした。その次に登場したのは1984年、ロサンゼルスオリンピックの年です。その後も途中で無理やり目覚めさせられて暴れたり、念動力など新たな超能力を身に着けながら、オリンピックイヤーになると登場していました。
バルセロナオリンピック、アトランタオリンピック、シドニーオリンピックと4年ごとに登場する日暮は、『こち亀』の長期連載のシンボルのようなキャラクターとしてファンに愛されています。そしてパリオリンピックがある今年も目を覚ますかと思いきや、何故か眠り続けます。その理由は東京五輪が1年ずれたせいで、まだ3年しか眠っていないというものでした。
しかし、もしも2024年に彼が目を覚ましていたら、きっと世間の変わりように驚いたでしょう。ロシアや中東で戦争が起きていたり、これまでにない猛暑が続いていたり、コロナ禍がまだ続いていたり、相場や株価が大変なことになっていたりと、3年前と比べてざわざわした世間に何かを予知する展開があったかもしれません。
4年ごとに登場する日暮は4年前の空気や常識をまとっているため、登場するたびに現在とのギャップに驚きます。読者にとっては「あの頃」を思い出させてくれる懐かしさとともに、過ぎ去った時間を実感させてくれるキャラクターだと言えるでしょう。