「ガンダム」シリーズには、ときおり「ゲテモノガンダム」と呼ばれるような風変わりな機体が登場します。「果たしてどこらへんがガンダムなのか?」と思わざるを得ない機体を見ていきましょう。



腹部のトリプルメガソニック砲と伸縮する腕が特徴。「ROBOT魂〈SIDE MS〉ガンダムヴァサーゴチェストブレイク」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ

【画像】「目がふたつついててアンテナはえてりゃ……」←通用しない こちらが変わり種なゲテモノガンダムの姿です(4枚)

もっともゲテモノガンダムが多かったのは、あの作品?

「ガンダム」シリーズには多くのガンダムタイプの「モビルスーツ」が登場し、なかには独特すぎる見た目から「ゲテモノガンダム」と呼ばれてしまう機体もあります。

 そもそも最初に「ゲテモノガンダム」という言葉が広がったのは、1996年に放送された『機動新世紀ガンダムX』で、主人公「ガロード・ラン」たちの前に敵として立ちはだかった、「フロスト兄弟」の駆る「ガンダムヴァサーゴ」「ガンダムアシュタロン」の2機からだといわれています。作中でガロードに協力するガンダムパイロットの「ウィッツ・スー」が、フロスト兄弟の機体に対して「ゲテモノガンダム」と呼んでいたからです。

 しかし、さかのぼってみると、『ガンダムX』以前から「ゲテモノガンダム」といえるような見た目の機体は存在していました。いわゆる「宇宙世紀」シリーズでは、『機動戦士Zガンダム』や続編の『機動戦士ガンダムZZ』に登場した「サイコガンダムMk-II」あたりが該当するでしょうか。

『Zガンダム』で主役サイドだった「エゥーゴ」の運用する「ガンダムMk-II」が約18.5mなのに対し、変形機能を持つサイコガンダムMk-IIは、MS形態で約39.98mと倍以上ある巨体で、つり上がった目元や、アゴの形状が特徴的です。

 そして、個性的なガンダムがもっとも多く登場した作品といえば、『ガンダムX』から2年前の1994年に放送されていた『機動武闘伝Gガンダム』でしょう。

 この作品は、人類を滅ぼそうとする「デビルガンダム」が差し向けた「デスアーミー」と呼ばれる機体に、主人公「ドモン・カッシュ」やドモンの師匠である「東方不敗(マスター・アジア)」が生身で立ち向かうなど、それ自体も突飛でした。

 作中で行われる「ガンダムファイト」(ロボットによる武闘大会)に世界各国の代表として参加する格闘技用の機体(モビルファイターと呼ばれる)も、ほかの作品と比べて異彩を放つ機体が多く登場しています。

 なかでも面白いのが、「ネオオランダ」代表の「ネーデルガンダム」でしょう。ガンダムファイトでは決勝リーグへ辿り着くために、地球全体をリング代わりにして11か月間の予選が行われます。そのなかでネーデルガンダムは、オランダ代表らしく風車に擬態して姿を隠すことで、予選を戦わずして勝ち残った猛者です。

 そのほかにも、巨大なつり鐘が下半身の「マンダラガンダム」や、魚の着ぐるみをまとったような見た目の「マーメイドガンダム」など、個性的すぎるガンダムたちが自国の名誉をかけて戦いを繰り広げました。



まるでガマガエル。「HG 1/144 ガンダムグシオン」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ

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新作でも増え続けるゲテモノガンダム

 2000年代に入ってからも奇抜な見た目をしたゲテモノガンダムは多くの作品に登場しており、『機動戦士ガンダム00』には、「ガンダム形態」と、「カメラがバイザー型で大型4連キャノンを備えたキャノン形態」を使い分ける「リボーンズガンダム」という面白いギミックを持った機体も登場します。

 次の『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』にも、一見するとガンダムタイプに見えないゲテモノガンダムが登場しました。本作に登場するガンダムは、見た目ではなく、「ガンダムフレーム」と呼ばれる独自の内部構造で「ガンダムかそうでないか」が区別されています。そのため、たとえば「ガンダム・グシオン」は、ほかの作品などにおけるいわゆるガンダムタイプのような長身痩躯ではなく、平たい頭部に胴体も手足も短めの、ずんぐりむっくりとした外見でした。

 TVシリーズ最新作の『機動戦士ガンダム 水星の魔女』でも、肩の巨大なブースターユニットや鳥のような足が特徴の「ガンダム・ファラクト」に、手足と胴体のバランスがいびつな「ガンダム・ルブリス・ソーン」など、ゲテモノガンダムと呼んで差し支えなさそうな、特徴的なガンダムが登場していました。

 同作と同じ世界を舞台に過去の時系列を描いたコミカライズ作品『機動戦士ガンダム 水星の魔女 ヴァナディースハート』の主人公機「ガンダム・ルブリス・ジウ」も「虎の子」と呼ばれる巨大な腕武装を持ち、装備した見た目は左右非対称のいびつなスタイルで、ゲテモノガンダムといえるかもしれません。