マーベラス彩羽匠が尾崎魔弓から至宝奪還で「もうOZとはかかわらない」今後は団体内闘争へ

 女子プロレス界のスーパーレジェンド長与千種が代表を務めるプロレス団体マーベラスが8日、東京・後楽園ホール大会を開催した。8月8日は千種のデビュー記念日とあって、マーベラスは毎年この時期に後楽園大会を開催している。千種は1980年8月8日に全日本女子プロレス、東京・田園コロシアム大会でデビューしたため、今年はデビュー44周年となる。来年45周年の節目を迎える千種だが、この日は特別試合としてChiChiとBarbie対決に出場。シン・広田さくらとのチーム・エキセントリックが電撃復活するサプライズもあったが、広田特製のコスプレでBarbieに扮した甲斐もなく、ChiChiに敗れている。しかし、ダンプ松本、クレーン・ユウ、大森ゆかりといった同期や、9月に世界配信されるダンプをモデルにクラッシュギャルズとの抗争を描いたNetflix『極悪女王』の出演者や関係者が見守る中、コミカルマッチでも振り切る姿はさすがと言っていいだろう。

【画像】日本女子史上初の最重量級金メダル!パリ五輪レスリング女子76キロ級・鏡優翔を特集! メインイベントでは、千種とはJWP、GAEA JAPANで抗争を繰り広げていたAAAWシングル王者の尾崎魔弓に、千種の弟子であるマーベラスのエース彩羽匠が挑戦。尾崎は昨年5月の後楽園大会に「禁断の扉を開けに来ました」とこれまで交流がなかったOZアカデミーから一人でマーベラスに乗り込み彩羽と大乱闘。8月の後楽園大会では桃野美桜から暴走ファイトでAAAWシングル王者をGAEA参戦時以来22年ぶりに強奪。マーベラス勢をイラつかせるかのように、1年間で渡辺智子、桃野の2回しか防衛戦を行なっていない。今年5月の後楽園大会で正危軍として雪妃魔矢とのタッグで乗り込んできた尾崎は、彩羽&桃野と対戦するも決着はつかず。ここで彩羽が挑戦表明するも「OZのリングで正危軍と1対3でやって勝ったら考えてやる」と挑発。これを受ける形で今度は彩羽がOZの新宿FACE大会に乗り込んで、ハンディキャップマッチを勝利するも「時間が長い」と却下すると、彩羽はメインの尾崎の試合中に乱入し、尾崎に掟破りの毒霧を噴射。これに激怒した尾崎はようやく「タイトルかけてやってやるよ」と挑戦を受諾した。

 試合は彩羽の奇襲からスタート。場外戦でも彩羽が主導権を握るも尾崎はバックブローとチェーン攻撃、イス攻撃と今回は一人で乗り込んで来たにもかかわらず、やりたい放題。尾崎は止めに入るTOMMYレフェリーにもイスを振りかざすが、これを彩羽が止めると「ノールール」への変更を申し立てて、これが認められ試合は反則OKのノールールに変更される。このルールは尾崎が有利なのは間違いないのだが、キレた彩羽はイスを尾崎にフルスイングし、パンチの連打。尾崎もバックブロー、テキーラサンライズ、チェーンを使った多彩な打撃でダメージを与えていく。しかし尾崎の毒霧をかわした彩羽は新宿大会に続いて毒霧を噴射すると、ハイキックからランニングスリーを決めてカウント3。後楽園に詰めかけたファンは総立ちで彩羽を祝福した。
  ベルトを巻いた彩羽はマイクを握ると「1年ぶりにAAAWのベルトを取り返しました。尾崎!勝ったのはウチなんだよ。もうOZとはかかわらない」とOZとの終戦を宣言。しかしリングサイドの千種を一べつした尾崎は「尾崎魔弓様様様だー!こじ開けたケンカの扉、勝手に閉めんなよ。まだまだ終わりにしねぇ。扉は閉めません!」と言い放つとマイクを投げ捨てて控室へ。彩羽は疲れた表情で「もういいよ。1年やって防衛戦も全然やらねぇくせに。今まで毒霧2回やったけど、毎回嗚咽すんだよ。もうやりたくない」と尾崎やOZとの抗争に心身ともに疲れた様子。元GAEAの加藤園子との防衛戦も見たいところだが、彩羽の周りには気がつけば桃野、川畑梨瑚、Mariaの3人が包囲網を敷いており、この3人で巴戦を行ないその勝者が次期挑戦者になりそうだ。OZとの抗争がひと段落ついたマーベラスは団体内闘争に発展していく。その様子を眺めていた千種は弟子たちの成長に笑みを浮かべながら目を細めていた。至宝の奪還と所属選手の成長がデビュー44周年を迎えた千種に対する最大のプレゼントである。
 ◆マーベラス◆
『後楽園大会』
2024年8月8日
東京・後楽園ホール
▼AAAWシングル選手権試合(30分1本勝負)
<王者>●尾崎魔弓(22分58秒 エビ固め)彩羽匠○<挑戦者>
※ランニングスリー
※第18代王者が3度目の防衛に失敗。彩羽が第19代王者となる。

取材・文・写真⚫︎どら増田
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