今どきウエッジはソール形状で選ぶ!
今回試打したウエッジは、どれも「オーソドックスな形状なのにやさしい」でしたが、素材やフェースの溝、重心の高さはどれも似ています。素材に関しては、軟鉄のなかでもトップクラスにやわらかい「S20C」や「S25C」を使用。溝はどのメーカーもスピンが増える工夫がしてある(写真①)。
スピンの入りやすさは、ブレードの厚みを逆テーパーにしたり、バックフェースに溝や穴を設けることで低重心ではなく、高重心にすることでも増えるようになっています(写真②)。その一方で、ソール形状は溝やくぼみがあるタイプや多面にしたタイプ(写真③)など、大きく分けると似ていますが、打ってみてのボールの拾いやすさや飛び出し方はそれぞれに特徴があります。
どれも「カッコいいうえにやさしいウエッジ」であることは間違いありませんが、できればコースと同じ状況の芝や土、砂の上から打ってみると、より自分が求める性能をもった1本を見つけ出せますよ。
(広告の後にも続きます)
1 ヘッドの入り方が違う
本当にお助けウエッジ級のやさしさがありつつ、シャープな形状のウエッジが増えましたね。とはいえ、ミスをゼロにできるわけではないので、デザインや機能を十二分に活かすためにも、ソールやバンスを使った打ち方をしましょう。ソールを地面に上手にタッチさせるには、入射角とヘッドの返し方がポイントとなります。
ダフリとの大きな違いは「ヘッドが刺さらない」でしょう。ボールだけをクリーンにヒットするために、ヘッドを上から入れようとしがちですが、ボールを潰す打ち方はライが悪いときなどに用いるもので、あえて刺さるような打ち方はご法度です。ヘッドの入射角が鋭角になりすぎないように気をつけてください。
「ダフリ」と「ソールを使う」の違いとは?
前傾角なりのフラットな軌道と入射角
前傾した角度なりのオンプレーンスイングなら、ウエッジの刃がボールの下に潜り込む
「ダフリ」と「ソールを使う」の違いとは?
ボールを潰すように上から入れると刺さる
タテ振りでヘッドを上から入れすぎると、リーディングエッジが地面に向かってしまう
ヘッドの返し方が違う
もっとも大事なのは「ヘッドを返しながら打つ」ことなのですが、ここでのカン違いがダフリのもと。ヘッドは体の回転に沿って自然に返るのが正しく、腕や手首を回して返すのはNGです。正解の打ち方を実践するのはとても簡単で、胸を回しながら打てばいい。
それによって入射角が鋭角にならないし、ヘッドの入り方も安定する。ソールが地面に触れたあとにヘッドが前(目標方向)へとスムーズに出ていくので、ヘッドの抜けもよくなります。
〇胸を回して返すのが正解! ×腕や手首を回すと突っかかる
イメージ
意図的にフェースを開閉するのではなく(×)、胸を回した体のターンでヘッドを返す(○)
飛球線側から
体の回転に沿ってクラブが動くので、ヘッドはつねに胸の前にある(〇)。手先でヘッドを動かすとクラブが体の前から外れてしまう(×)
正面から
体の回転だけでもヘッドはきちんと返っていく(〇)。手先を使って返す打ち方(×)と比べて、ヘッドが突っかからず前に出るので抜けがよくなる
試打・レッスン=岩男健一
●いわお・けんいち/1987年生まれ、和歌山県出身。07年にプロ入りし、ツアーに参戦中。ギアの知識も豊富で、その模様やレッスン、さまざまな実験を配信するYouTubeチャンネル「わっほーまっちゃんの日常」が大人気。フリー。
写真=相田克己
協力=太平洋クラブ 成田コース