『ONE PIECE』は、最終章に突入し、物語のタイトルテーマである「ワンピース」争奪戦に向けて加速を始めました。そこで気になるのは完結までのペースです。いったい何年くらい必要なのでしょうか?
アニメ『ONE PIECE』ビジュアル (C)尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション
【画像】『ワンピ』連載中にどれだけ終了した? こちらは25年間で完結したマンガです(6枚)
終わそうになっても、意外と終わらない名作たち
『ONE PIECE(ワンピース)』では、世界の秘密の一端が明かされるなどして、これまでにない盛り上がりをみせています。最終章とのことですが、まったく終わる気配がありません。
実際に『ONE PIECE』が完結するまで、あとどのくらいかかるのか、これまで終わりそうに見えてなかなか終わらなかった「ジャンプ」マンガを振り返り、完結までの時間を推測します。
達者で暮らせよ、みんな。あばよ『こち亀』
ジャンプ作品のなかで最長の連載期間を誇る作品といえば全200巻の『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(以下、こち亀)です。無限の体力とマニアックな知識と飽くなき欲求の持ち主である「両津勘吉」こと「両さん」が活躍する本作は、40年もの長きにわたって一度も休むことなく連載されました。しかも2021年には未収録エピソードなどを詰め込んだ201巻が発売されています。
そのような伝説的マンガには多くの読者に衝撃を与えた「最終回詐欺」とも言えるエピソードがあります。それは69巻収録の「麗子メモリアル」「中川メモリアル」に続く「両さんメモリアル」です。
このエピソードでは両さんの生い立ちが紹介された後、両さんが「大原部長」に日ごろのお礼(有田焼の湯のみ)を渡したり、同僚たちに大事にしていたコレクションを配ったり、お礼を言ってまわるという不思議な展開があります。
普段と違ってあまりにも折り目正しい姿勢に違和感を持った大原部長は、両さんを病院に連れて行こうとしますが、それには理由がありました。なんと両さんは警官を辞めるというのです。
そして最後は見開きで「長い間ご愛読ありがとうございました。両津勘吉巡査は派出所を去り、旅立ちました。13年間の長期にわたり読み続けてくださった読者の方々にお礼を申し上げます。また会う日までさようなら」というナレーションで締めくくります。
『こち亀』は一話完結型の作品のためいつでも終了できます。また同僚の「麗子」や「中川」の総括のようなエピソードに続いてのことでしたから、当時はショックと同時に納得感もありました。
ところが次のページではタイトルが「新・こちら葛飾区亀有公園前派出所」となって、旅立ったはずの両さんが登場します。そして、このエピソード自体がニセ最終回だった、と種明かしをしました。
両さんの悪びれない態度に腹を立てた大原部長は、ほかのマンガへ行ってしまえ!と両さんをコマの外に放り投げました。すると、飛ばされた先は『ドラゴンボール』の「ナメック星」でした。違うマンガの世界にやってきた両さんは「ザーボン」や「フリーザ」の前でひたすら恐縮する…というオチで終了です。このニセ最終回後『こち亀』は27年も連載が続きました。
「アニメ『銀魂』Blu-ray Box シーズン其ノ壱」(アニプレックス)
(広告の後にも続きます)
「終わる終わる詐欺」で有名な『銀魂』は何年かかった?
もうちっとだけ続くんじゃ『ドラゴンボール』
終わりそうで終わらない作品といえば『ドラゴンボール』を思い出す人は多いのではないでしょうか。42巻で完結した本作は、実は1989年に刊行された17巻で大団円を迎えていてもおかしくありませんでした。
「マジュニア(二代目のピッコロ)」を撃破して、ついに天下一武道会で初優勝を成し遂げた「悟空」が、婚約者の「チチ」を筋斗雲に乗せ「みんなバイバーイ!また会おうなー!」とほがらかに別れを告げて飛び去っていったからです。
しかし、その最後のコマの端に切り取られた小さなコマで亀仙人は言います。「最終回じゃないぞよ。もうちっとだけ続くんじゃ」と。いま振り返ると「もうちっと」どころではありませんでした。
その後の展開をざっと並べただけでも、「ラディッツ襲来」「界王星での修行」「ベジータ襲来」「ナメック星でフリーザ一味と激突」「人造人間復活」「セル撃破」「魔人ブウ撃破」など記憶に残るイベントが盛りだくさんです。最終巻は1995年に刊行されたので、亀仙人の告知から6年間も続いたということになります。
俺達の戦いは「ジャンプGIGA」からだァァ!!『銀魂』
『ドラゴンボール』や『こち亀』が最終回を匂わす展開をしたのは一度きりですが『銀魂』では「週刊少年ジャンプ」本誌で完結を告知し、見開きカラーを掲載しながらも「ページ数が足りん」と完結できず、掲載誌を「ジャンプGIGA」に移して連載が継続されました。
そして「ジャンプGIGA」でも表紙イラストで完結を匂わせながらも収まりきらず、最終的には「銀魂公式アプリ」に掲載の場を移して最終回を迎えます。そのため「週刊少年ジャンプ」本誌読者のなかには『銀魂』の最終回を知らない人も多いようです。
もともと『銀魂』はパロディや、キャラクターが第四の壁を破って自己言及したりする作品でしたが、完結しそうで完結しない展開にはキャラクターたちが突っ込みを入れていたほどです。
またTVアニメの『銀魂』でもたびたび最終回を告知しては破るという展開が繰り返され、某政治家の号泣会見のパロディで「完結しなくてすみませんでした!」と謝罪するシーンは大きな話題になりました。結局、紆余曲折あって『銀魂』が完結したのは2016年の最終章告知から約3年後のことです。
『ONE PIECE』の完結は2030年くらい?
これまで紹介した3つの「ジャンプ」マンガからは、作者が物語の完結に言及してから実際に完結するまでには、決して短くない時間が必要だと分かります。『こち亀』は例外として『ドラゴンボール』と『銀魂』の期間を参考にすると『ONE PIECE』も3年から6年程度はかかるのではないでしょうか。
物語の結末を見たいのはもちろんですが、いつまでも続けてほしい気持ちもあります。最終章だからといって数ヶ月で終わるとは考えられません。じっくり物語の歩みを見守りましょう。