スタジアムライブはお祭り。みんなで作るのが醍醐味
――前田さんが考える、野外のスタジアムライブならではの魅力は何ですか?
僕らが小さい頃って、親に連れられて、後楽園球場とかに野球、観に行ったりしてたんですよ。でも屋外でやってるから、雨が降ったり、寒くなってきたりもする。そういう時、親が「これ、着なさい」ってポンチョを出したりすると、「大人ってすげえな」って、子ども心に感動したんです。いつもは「うるせえな」とか思ってたけど(笑)。野外のイベントで親子の絆も深まったし、子どもの頃の林間学校とかも、自分を成長させてくれたんですよね。
ライブをやるなら野外よりドームのほうが快適だし、頭から照明もあてられて、ショーとしてはそっちのほうが濃いものを作れるんでしょうけど、そういう野外での経験値が自分たちの人生に根強く残っている。スタッフもみんなその世代ですから。そういう高齢者たちで野外ライブをやってます(笑)。
――アーティスト側から感じる野外ライブの魅力はというと?
やり終えた後の達成感は大きいですね。100考えていたことが100にはならないし、必ずトラブルが起こるんです。それも想定しながら準備して、トラブルが起きても起こらなかったように乗り切ったときは、さすが百戦錬磨のチームだと自画自賛してます。手前みそですけどね(笑)。
それに、スタッフと意識してるのは、球場でもビーチでも、TUBEのライブ後は「ほんとに昨日ライブがあったんだろうか」っていう状態に戻すこと。TUBEが来る前よりキレイになったって言われたこともあります。
――「来た時よりも美しく」って、まさに小学校の林間学校で言われたことですね。
自分の出したゴミプラスひとつを持って帰ってもらえると嬉しいなと思っています。そういうふうに、来てくれる人と一緒にライブを作っていく感覚ですよね。年に一度、みんなで成功させる地域のお祭りと一緒。TUBEという神輿をオーディエンスも含めてみんなで担ぐ、そういう感じですね。
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大噴水の中で歌うコツは、おちょぼ口で息を吸う
――まさにTUBEのスタジアムライブが夏の風物詩と呼ばれる理由ですね。
TUBEのホールやアリーナのツアーは来ないけど、スタジアムライブだけ参加する方ももちろんいるんです。野外は、やっているほうも気持ちいいですよ。でも楽器って、外で演奏するのに向かないんですよね。湿度とか気温に左右されるので、トラブルが多いんです。だから楽器クルーは、この日のためにアイデアを出したり、防水加工の方法を開発したりして。
でも楽器に防水加工って、あんまり意味ないのよ(笑)。クルーが「これ、スイッチから水、入んないようにしたんすよ!」って自慢気に言ってくるけど、「お前の仕事、そこか?」って。でもライブ中、水と火っていう、楽器の近くで一番使っちゃいけないものをよく使うからね(笑)。
――TUBEのスタジアムライブといえば、バラードのギターソロ明けの大噴水ですよね。前田さん、あの激しい水の中でどうやって歌っていらっしゃるんですか?
こうやって、おちょぼ口でね、息、吸うの。鼻で水吸ったら終わりだから。歌う時は、ちょっと上唇を出して歌うと、上からも水が入ってこないから大丈夫なの。今年の噴水は最新鋭で、非常によかったんだけど、その分、粒子が細かかったんだよな。バンドのやつら、むせてたからね(笑)。
――ミスト状でなおさら入ってきちゃうんですね(笑)。前田さん以外は溺れると思います。
全員、むせると思うよ。でも僕は慣れました(笑)。コツがあるんです。
――過酷な夏の野外ライブもパワフルに駆け抜ける皆さんのパワーはどこから来るのでしょうか?
みんな特にすごく努力してるわけじゃなく、普通にジムに行ったりする程度ですよ。それに最近は、スタジアムライブの何日も前からそれぞれドクターについてもらって、本番当日もケアしてもらってます。リハーサルの時から見てもらって「このあたりで栄養入れましょう」って、途中で栄養補給したり。
リハーサルが終わったら、メンバー全員、並んで熱中症予防の点滴をしますね。じゃないと確実に熱中症になるので。あくまでも前田調べですけど、熱中症が進むと顔の中心が赤くなってくると思うんですよね。そこらへんはメンバー中心に気をつけるようにしています。なのでライブに参加されるみなさんにもくれぐれも気をつけてほしいですね!