無断転載画像で中古端末の空売りか? 怪しさ満点の業者アカウントに凸してみた

 SNSにはさまざまな手段で詐欺をはたらこうとするアカウントが存在します。先日よりX(旧:Twitter)にて詐欺アカウントの可能性があると話題になっているのが、スマートフォンやタブレット端末を販売する「SARUモバイル 神戸店」なるXアカウント。

 パッと見では企業アカウントとして、買取などで仕入れた端末をSNS上で販売しているように見えるのですが……なんと投稿しているすべての画像が、よそから盗用してきたものであるもよう。これは怪しい……!

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■ 画像の持ち主からも指摘相次ぐ

 投稿に用いられている画像は、一般ユーザーが投稿したものから、某中古端末取り扱い企業アカウントが投稿したもの、フリマサイトに至るまで、ありとあらゆる場所から収集し、転載を行っている様子。



 さらに悪質なのが、パッと見で転載と分からないようにするためか、画像の一部を加工して掲載している点。プロフィールにはあたかも店舗が実在するかのように、店頭の様子を撮影した写真が用いられていますが、これはフェイク画像。実在する別の企業の店舗画像を加工したものです。



 転載だけでなく、画像の加工まで行ってしまうとは、初めから騙す気しかないように感じられます。また、支払いにはPayPayしか使えないといい、こうした点も不信感をより強くするポイントでしょう。

 当然ながら、当該アカウントにはこれらの投稿を見たユーザーや、画像の持ち主から指摘が相次ぎ、「空売りを行っている」「絶対にお金を払ってはダメ」といった注意喚起が行われる事態に。

 しかしながら、「SARUモバイル 神戸店」は、「画像は(2022年に)紛失したUSBメモリーから流出したもの」とし、転載の事実を認めるどころか元々自身のものであると主張。「名誉棄損で訴える」と強気な姿勢を表明しています。



 さらには、「TikTokで詳しく解説しています」「SHEINに出品しています」と言い、リンクを添付していますが、これらは全てアフィリエイトリンク。ここから登録を行うと、投稿者にマージンが入る、というとても企業とは思えない手段を用いています。



 ここまでの内容でも、怪しむ条件は十分といって良いほどそろっているのですが、100%嘘をついているという確証はありません。そこで「SARUモバイル 神戸店」に対し取材を申し込んだところ……なんと返信があり、快諾。「身の潔白を証明したい」とのことでしたので、疑問をぶつけてみることにしました。



■ SARUモバイル 神戸店へのインタビュー 「投稿は炎上狙い・インプ稼ぎ」

―― まずはSARUモバイル神戸店の所在地について教えてください。そもそも実在しているのか?という疑問がXには相次いでいますので、はっきりさせておくためにもお聞かせください。

 ネタバラシをするのももう少し後にしようかと思いましたが、SARUモバイル神戸店は存在しません。釣り垢です。(詐欺行為もしていません)。販売ツイートをあげているものの販売取引は一度もしていなく、そのため古物商取得もしていません。

―― 投稿画像が転載と疑われている状況で、あくまで転載ではなく、2022年上半期に画像データが流出したと主張された件についてもお聞かせください。

 投稿画像の無断転載について、再炎上させるための仕込みで適当なでまかせを言いました。勝手に画像使われたユーザーさんには申し訳ないですが、完全に当アカウントの内容は全て炎上狙いで仕向けていました。

―― 投稿されている画像のいくつかに加工されたような痕跡が見受けられます。元の画像は中古端末取り扱い店など各所の投稿から転載したという指摘もあり、実際に酷似していますが、間違いありませんか?

 店舗の画像は中古端末取り扱い店から盗用しました。悪質性を感じたユーザーが炎上騒ぎするようにしむけるために、価格札などはAIを使って元画像から消しました。正直に言うと炎上狙いの加工です。

―― 商品代金の支払い方法がPayPayしか受け付けていないことについては?

 これも詐欺垢として炎上させるためにわざとPayPayなどの詐欺師の用いるものを書いています。あからさまな詐欺と見えるとユーザーが騒いで拡散するためにそのようにしています。

―― TikTokやSHEINのリンクを貼り付けていますが、どちらもアフィリエイト目的、ということですか?

 先ほど申し上げたように、炎上狙い・インプ稼ぎ狙いのため、TikTokやSHEINのアフィリンクを貼っています。アフィリンクを出店リンクと勘違いした人がそのリンクを踏むとこちらに収益が入る仕組みです。要するに、炎上狙いでこのアカウントは運営していました。

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 「身の潔白を証明したい」という意気込みはどこへやら。なんとあっさり炎上狙い・インプ稼ぎが目的であることを認めました。

 初めから釣り行為が目的であるならば、たずねる内容も変わってきます。一旦仕切り直して、別の質問をぶつけてみることにしました。

■ 初めからアフィリエイトリンクでの小遣い稼ぎが目的?

―― なぜ炎上狙い、インプ稼ぎ狙いのアカウントを作ろうと思われたのでしょうか?初めからアフィリエイトリンクでの小遣い稼ぎが目的だったのでしょうか?

 そうです、金銭目的です。正攻法でやると時間がかかるので、こういうやり方でアフィリンクをクリックさせています。

―― 実際に端末の購入希望者から問い合わせがありましたでしょうか?空売り行為はしていないとのことですが、購入希望者に対してはどのように対応していたのでしょうか?

 実際に問い合わせはありまして、購入希望のDMにはSHEINのリンクを送りつけて、リンクのクリックを促していました。

―― あなたはこれまでにも同じように炎上、インプ稼ぎを目的としたアカウントを運用したことがあるのでしょうか?

 今回のやり方とは異なる方法で、多数アカウントで現在進行系でやっています。が、アカウント名を公開するつもりはないです。アフィリンクもアカウントごとに切り替えてるので、特定は第三者には無理でしょう。

―― アフィリエイト目的であれば、他の手法も色々とありますが、なぜ今回のように実店舗を装い、他所から盗用した画像で多くのインプレッションを稼ぐ、という手段を取られたのでしょうか?これは自身で考えたのか、もしくは誰かに教えてもらったのでしょうか?

 「手っ取り早い」からです。アフィリエイトというのは世間的にも嫌われていて、真っ当にブログ立ち上げ→リンクを紹介という形でおこなうと、凄く要領が悪いです。自身で考えた方法です。

―― 最後に、さまざまな指摘に対し、訴訟を起こす旨の返信をしておられますが、実際には訴える気はない、ということで間違いないでしょうか?

 それは賠償金(和解金)次第です。現在法的措置の準備はしてません。

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 前述の通り、「SARUモバイル 神戸店」には他者に迷惑をかけているという意識は皆無で、とにかく注目を集め、金銭を得るためならば手段を選ばない、という並々ならぬ意志を感じました。

 もちろん、お金に執着することが悪いことだとは思いません。しかしそれはあくまで、きちんと働いて、きちんと対価を得る場合に限ります。嘘をついて注目を集め、だまし討ちのような形で得る稼ぎ方が、果たして健全であると言えるでしょうか。

 使用した画像が自身で調達したものであるならまだしも、全て盗用かつ加工したものである点も見逃せません。これは明らかな著作権侵害です。

 加えて「法的手段をとる」という投稿には既に多くの方がリプライにて指摘していますが、相手を怖がらせる目的でこうした発言をした場合には、脅迫罪が成立する可能性があります。

 本来であれば、この手の迷惑行為についてはXの運営が早々に対応すべきこと。ユーザー同士の自警に任せるばかりで、健全な環境が維持されているとは思えません。

 なお、記事執筆時点(8月23日17時)では、アカウントを消したり、アカウント名を変更したりといった行為は見られませんが、「SARUモバイル 神戸店」の行く末やいかに。

<記事化協力>

256大好き!さん(@256_daisuke

<参考>

SARUモバイル 神戸店Xアカウント(@ohmygottweet)

256大好き!さん(@256_daisuke

(山口弘剛)

Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 山口 弘剛‌ | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2024082306.html