好きな漫画家の作品が実写化されることに、不安を覚えるファンは少なくないでしょう。しかし、押切蓮介氏のホラーマンガ『サユリ』は、押切氏が「ファンだった」という白石晃士監督が実写映画化したことで、原作者本人も満足するものになっています。いや、それどころかJホラー映画史に残る傑作になっているかもしれません。
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【画像】「えっ」怖すぎてヤバいんですけど。これが押切蓮介&白石監督のホラー作品です(7枚)
従来のJホラーにはない爽快感
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漫画家と映画監督との幸福なマリアージュがこの夏、ついに実現しました。2024年8月23日から劇場公開が始まったホラー映画『サユリ』こそが、幸福なマリアージュが生み出した最凶に怖くて、最高に面白い実写化作品となっています。
山田杏奈さんが主演したバイオレンス映画『ミスミソウ』(2018年)の原作者として知られる漫画家・押切蓮介氏が、2010年~2011年に雑誌連載したホラーマンガ『サユリ』を、『貞子vs伽椰子』(2016年)などのヒット作で知られる白石晃士監督が、作品内容はそのままにブーストをかけて実写化した作品です。
どちらも振り切った作風、過激すぎて思わず笑ってしまうという気鋭の人気クリエイターです。鬼才同士のパワーとパワーががっつりと掛け合って、これまでのJホラーにはない怒涛の展開と胸のすくクライマックスが待っています。そして、観終わると爽快感すら感じさせる不思議なホラー映画に仕上がっているのです。
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悪霊にガチ対決を挑む人間たち
これまでのJホラー映画と、『サユリ』はどこが違うのでしょうか? 中田秀夫監督の『リング』(1998年)や清水崇監督の『呪怨』(2003年)が大ヒットし、1990年代から2000年代にかけて日本製恐怖映画=Jホラー映画は世界的な大ブームとなりました。しかし、その後に作られたJホラー系の作品は、『リング』『呪怨』のパターンを踏襲し、悪霊に取り憑かれて主人公たちが全滅しておしまい……というバッドエンドのものがほとんどです。
人間が悪霊に一方的にやられてしまうという展開に「ちょっと待った!」を掛けたのが押切蓮介氏でした。映画好きな押切氏はJホラーにありがちなストーリーの逆を突くホラーコメディマンガ『でろでろ』や『ゆうやみ特攻隊』などで人気を博しています。『でろでろ』はヤンキー少年が、『ゆうやみ特攻隊』は「心霊探偵部」の高校生たちが怪奇現象にガンガン立ち向かっていくという内容です。
一方、白石晃士監督はオリジナルビデオシリーズ「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」(2012年~2023年)で、カルト的な人気を集めました。『コワすぎ!』は都市伝説を検証する撮影クルーを主人公にしたドキュメンタリータッチのホラー作品です。とりわけ、パワハラ上司の工藤ディレクター(大迫茂生)が金属バットで口裂け女らに立ち向かう様子が評判となり、低予算ホラーと思えないほどスケールの大きな物語へと展開していきました。
生きている人間が、実体のないオバケに負けてたまるかッ! そんな気合いたっぷりな主人公たちを、押切氏も、白石監督も描いてきたわけです。しかし、『サユリ』に登場する悪霊はハンパなくこの世に強い恨みを抱いています。一体、どんなバトルになるのか、想像できない面白さが『サユリ』には待っています。
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