2024年夏アニメは、「~の子」で表現できる作品がどれも話題になっています。各作品の注目ポイントを掘り下げてみましょう。



中毒性の高いオープニング曲が話題になった『しかのこのこのここしたんたん』 (C)おしおしお・講談社/日野南高校シカ部

【画像】えっ、提供枠の圧がすごい…! こちらはスポンサーが衝撃的な夏アニメです(3枚)

放送前から話題になった作品たち

 2024年夏アニメの話題作には、とある共通点があります。それは「~の子」という言葉で表現できることです。さまざまな方面から話題になっている「~の子」作品を3つ紹介します。

 まず放送前から注目を集めていた作品が、『しかのこのこのここしたんたん』です。オープニング曲「シカ色デイズ」は、たたみかけるように何度もくり返す「しかのこのこのここしたんたん」という歌詞が印象的で、オンエア前から「イントロ耐久1時間動画」が公開されていました。楽曲はもちろん、主人公の「虎視虎子」がシカに見つめられながら踊る動画もシュールで中毒性が高いです。イントロ耐久1時間動画は再生数823万回超え、オープニング動画の再生数は2245万回超え(2024年8月20日現在)の大ヒットを記録しています。

 ちなみにエンディング映像は、本物のシカと、奈良県にあるシカせんべい工場が登場する実写映像です。まるで教育番組で流れていそうなポップな楽曲と、ひとつひとつ丁寧に作られるシカせんべいの製造過程が注目を集めています。しかし本作の舞台は東京都日野市で、奈良県とはまったく関係ありません。そんな異例な取り組みだらけの「しかのこ」を要チェックです。

 次は『【推しの子】』の第2期です。主人公の「星野アクア」が出演する2.5次元舞台『東京ブレイド』の制作風景や上演の様子が描かれています。『東京ブレイド』が上演されるのは、2024年4月に閉館した「IHIステージアラウンド東京」です。客席が360度回転する特徴的なギミックや、巨大なスクリーンを使った演出など、「IHIステージアラウンド東京」ならではの演劇がアニメで再現されました。実際に劇場に足を運んだことのある演劇ファンからも「再現度が高い!」と話題を呼んでいます。

 また劇中劇の世界に入り込める、没入感のある演出も特徴的です。第17話の前半はキャラクターのモノローグがなく、舞台としての『東京ブレイド』をじっくり見せています。ステージ全体を眺められる全景映像を多く使っているため、本当に客席から舞台を見ているような気持ちになれるはずです。アニメファンは演劇に、そして演劇ファンはアニメに興味を持てる、両ジャンルに刺激をもたらす作品といえるでしょう。

 最後は、「お米の子」が登場する『天穂のサクナヒメ』です。新米豊穣神である「サクナ」が、鬼との戦いや稲作を通して成長していく姿を描いています。特に稲作は米作りの過程を丁寧に表現しており、「農家さんの苦労とありがたみが分かる」と話題になりました。

 最も印象的なエピソードのひとつが、第6話の食事シーンです。膨大な手間と時間をかけてようやく完成した米を、サクナたちが初めて炊飯します。釜を開けた瞬間の、炊きたての米の香りが画面の向こうにまで伝わってくるような作画は、何度でも味わいたくなるほどです。そして米を口にしたサクナは、涙が出るほどのうれしさを感じていました。サクナを通して米作りの苦労や収穫の喜びを疑似体験した視聴者からは、農家への感謝の声が続出しています。

 オープニング曲や作中の演出など、さまざまな角度で楽しめる「しかのこ」「推しの子」「お米の子」から、今後も目が離せません!