努力が評価されにくい芸人は、すぐに結果が出る筋トレにハマる
野田さんの才能はゲームだけに止まらない。2021年にオープンしたパーソナルトレーニングジム「クリスタルジム」も、あくまで自分の“好き”の延長上で「金儲けしたいという思いは全くない」と断言する。
「筋トレはプログラミングと同じで、コツコツ続ければ、できなかったことができるようになるのが楽しいですね。ムキムキの筋肉芸人が増えているのも、似たような理由だと思います。芸人は努力が評価されるわけではないので、努力したぶんだけハッキリ結果が出る筋トレがおもしろいんです。
そこで、『筋肉芸人がインストラクターを務めるパーソナルトレーニングジムを作ったら面白いんじゃないか』と、吉本の社長に直談判してみたんです。すると、ノリノリでOKをもらい、吉本が全面協力のもと、本当にジムをオープンすることができました。当時、僕は忙しくて鍛える時間がなかったので、仕事を口実に鍛えたいという思いもありました」
現在、クリスタルジムには25人以上のトレーナーが所属。その一人である青木マッチョさんは次世代のマッチョとして注目され、テレビ露出が急増している。さらに、ジムに通っていたメイプル超合金の安藤なつさんが約20キロの減量に成功すると、クリスタルジムはますます注目を集めた。
クリスタルジムの人気を受け、野田さんは劇場出演や番組収録の合間に、2号店のオープンに向けた物件選びや内覧を自ら行うなど、芸人らしからぬスケジュールをこなしている。
だがゲームクリエイターとしても、ジムオーナーとしても大切にしているのは、 “芸人”という軸からはブレないことだという。
「僕はあくまで芸人なので、若手起業家のようにはなりたくないんです。もしそっち(ビジネス)に全振りしたら、プロの経営者に勝てませんし、僕の強みが一切なくなりますから。芸人という主軸があるから、ゲームにバグがあっても笑いのネタにできるし、筋肉芸人が集まるジムのオーナーができています。どちらも、芸人だからこそ光る仕事なんです」
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将来の夢は隠居。「1日28時間ゲームして週7で筋トレしたい」
現在37歳。まだまだやりたいことは尽きないと思うが、今後どのような未来を描いているのだろうか。
「相方の村上と僕は、『将来、のんびり隠居する』という考えで一致しています。ただ、隠居の概念はちょっと違っていて。僕の場合、隠居したら、ゲームを毎日28時間くらい、筋トレを週7くらいやりたいんです。そして、ついでにその様子をYouTubeで撮ったり、テレビで使われたりするのもいいなと思っています。
こういう生き方を僕は『隠居する』と考えていますが、人によっては“めちゃくちゃ仕事してるじゃん”って思うかもしれません(笑)。結局、一般的に仕事だと思われることでも、好きなことならストレスにならないので、そういうことだけをする生活ができたら理想ですね」
取材・文/橋本 岬 撮影/竹川尚志