「ホワイトと対峙する際の問題は...」アーセナル戦での三笘薫のパフォーマンスを英国人記者が振り返る「良いプレーは忘れ去られがち」【現地発】

 8月31日、私はノースロンドンのエミレーツ・スタジアムでプレミアリーグ第3節のアーセナル対ブライトンを取材した。

 開幕2連勝のチーム同士の一戦であり、どんなゲームを展開してくれるのか非常に楽しみだった。

 アーセナルは今夏の移籍市場でスカッドをさらに強化した。各ポジションの層を厚くし、競争を促しているのは興味深い。守備ではCBのリッカルド・カラフィオーリ、中盤にはミケル・メリーノ、そして前線にはラヒーム・スターリングを新たに加えた。クラブが本当に必要としていたストライカーは獲得できていないが、スターリングは歓迎すべき補強だ。

 ブライトン戦では、38分にカイ・ハバーツのループシュートで先制したが、前半は非常に退屈な内容だった。今シーズンのプレミアリーグの試合を見ていると、前半は戦術的な戦いに終始し、固くなるチームが多く、見ている側にとってはかなりつまらない。この試合もまさにそうだった。

 一方、ブライトンの注目選手は三笘薫だろう。日本人アタッカーが今回対峙した相手は、プレミア最高の右SBの一人である、ベン・ホワイトだった。ホワイトは、肉体的であれ精神的であれ、相手を動揺させるためには手段を選ばない選手だ。

 そしてホワイトとマッチアップする際のもうひとつの問題は、彼が前に出ることが多いため、対応する選手は後ろに下がらざるを得なくなり、攻撃時にアドバンテージを失うことだろう。
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 三笘はまだ、他のチームメイトとの連係面で少しバラバラなようだ。前節のマンチェスター・ユナイテッド戦でも指摘したが、思うようにボールを受けられていない。昨シーズンまでは彼が攻撃のファーストオプションだったが、今のブライトンではそうではないように見える。

 それでもボールが来れば、見せ場を作った。31分には相手のクリアミスに反応して際どいダイレクトボレーを放った。また、52分には得意のドリブルでホワイトを翻弄して美しいクロスを入れたが、味方には合わなかった。

 どんなに良いチャンスメイクをしても、他の選手が得点を決めなければ、良いプレーは忘れ去られてしまいがちだ。この試合で三笘にはそのようなことが何度かあった。

 アーセナルのデクラン・ライスが、49分にこの日2枚目のイエローカードを受けて退場となり、数的優位となってからは、ブライトンが多くのスペースを使えるようになった。三笘がより前に出れるようになっていたが、この日本人は85分に交代を命じられた。

 三笘はまだトップフォームでプレーできているとは言い難い。ただ、彼がブライトンでの過去2シーズンでハイパフォーマンスを見せ続けてきただけに、期待するレベルが高くなっているのは間違いない。

文●スティーブ・マッケンジー(サッカーダイジェスト・ヨーロッパ)
 
著者プロフィール
スティーブ・マッケンジー/1968年6月7日、ロンドン生まれ。ウェストハムとサウサンプトンのユースでプレー経験がある。とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からのサポーター。スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝した。現在はエディターとして幅広く活動。05年には『サッカーダイジェスト』の英語版を英国で出版した。

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