過去、望月ママを襲ったさまざまな金銭トラブル
映画には、ママ役を演じる俳優・元グラドルの小松みゆきが、コロナ禍で店が経営難に陥ったことで客に資金を無心するシーンもある。リーマンショックやコロナ禍など数多くの不景気を銀座で乗り越えてきた望月ママ自身にも、同じような経験はあるのだろうか。
「正直、コロナ禍は銀座歴40年で初めて銀行の融資を受けられたこともあり、“最悪の事態”ではなかったですね。絶体絶命のピンチをいくつか挙げるとしたら、一度目は31歳で店を開業して、初めての出産を経験し、そのあと娘が生後11ヶ月で亡くなったとき。
悲しみに暮れて3週間ほど店を休んでいたら、ホステス30人が一気に引き抜かれてしまったんです。二度目は、税務署の調査が入り、追徴課税6000万円を取られたとき。三度目は黒服とホステスが結託し、数千万円を持ち逃げしたときです。
それ以外にも、人気ホステスを引き抜いたものの、結局その子が抱えていた借金を肩代わりしただけだったこともありますし、バンス(前渡し金)を渡したあと逃亡されたこともあります。それでも、一度もお客様に資金を無心したことはありません。無心しないでも、今まで何とかぎりぎりにも生き残れたことに感謝しています」
望月ママは結婚・出産に関して「一回目の結婚はスナックのマスターで、20歳で結婚してすぐ離婚しました。31歳で娘を出産し死別し、その後、2人の娘を未婚で産んでいます。どちらも結婚するつもりでお付き合いしていたのですけれど……。お客様を見る目には多少の自信はあっても、男を見る目はないのかも」と笑いながら話してくれた。
今年10月に7店舗目をオープンする望月ママに、今後の野望についても聞いた。
「実は、今回の映画は実話誌みたいな男性向けの作品になってしまっていて、私が想像していたものと少し違う仕上がりになっているんです(笑)。なので、もう少し女の子向けの、女の子が銀座に夢を抱けるような映画を作りたいと思いました。
あと、個人的には還暦になったらヌード写真集に挑戦したいんですが、それは店のスタッフたちに止められています(笑)」
夜の銀座を支えてきた女性や店舗、接待文化などは、これからも時代とともに変わっていくだろう。それでも、この街が持つ格式高い大人の魅力が失われることはないはずだ。
取材・文/河合桃子
集英社オンライン編集部ニュース班