実は日本の10人に8人はまだ利用してない「ふるさと納税」興味はあるけど躊躇している人に知ってほしい基本中の基本

独立行政法人経済産業所(RIETI)の調査によれば、日本全体の「ふるさと納税」利用率は2022年度で約14.9%。テレビCMでよく見かけることから認知度は約96%に上るものの、10人に8人はまだ利用していないともいえます。その概要やメリットをご存じでしょうか?

誰も教えてくれない「じつはそこにあるお金の話」を元・国税専門官が人生のライフステージごとに徹底解説した『僕らを守るお金の教室』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けします。

「ふるさと納税」で税金を減らして返礼品もゲット

ふるさと納税は税金に関する数々のお金防衛術のなかでも、即効性&即物性においてトップクラスにメリットが大きなものです。

ふるさと納税は、地方自治体に寄付をすることで、「寄附金控除」による節税効果を得られる制度。

ふるさと納税を正しく行うと、寄付で支払ったお金のほとんどが「税金が減る」という形で戻ってきます(所得税の還付と翌年度の住民税の減税)。それも、実質的な負担額は2000円以内で、です。たとえば10万円を寄付したなら、9万8千円分の節税効果があり、実質負担は2000円、というイメージです。

さらに寄付を後押しするのが、返礼品によるメリットです。ふるさと納税をすると、ほとんどの地方自治体から返礼品をもらえます。地域の特産品や旅行割引、日用品など、さまざまな返礼品が用意されていて、寄付をする人は好きな返礼品を選べます。

このようなしくみになっているので、単純に考えて「自己負担の2000円以上の価値がある返礼品をもらえば得」ということになります。

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「返礼品」のお得度を調べる方法

ふるさと納税のお得度を調べるときは、総務省がふるさと納税の返礼品を「寄付額の30%以内」にするように規制している点を考慮すると役立ちます。

今はふるさと納税を巡る競争が激しくなっていて、各自治体は寄付を集めるために返礼品に力を入れています。総務省の統計によると、ふるさと納税の返礼品を調達するために全自治体がかけているコストは寄付総額の約28%。上限の30%ギリギリまでコストをかけている状況が読み取れます。

このことを踏まえると、あくまでも概算ですが、次の計算式でふるさと納税のお得分を算出できます。

〈10万円を寄付した場合〉
返礼品の実質価格 10万円×30%=3万円
ふるさと納税の自己負担額 2000円
→ 2万8千円分のメリット(2000円の負担で、3万円分の返礼品が手に入った)

なお、ふるさと納税を利用するうえで、いくつか注意点があります。

もっとも重要なポイントが、きちんと確定申告またはワンストップ特例の手続きをしないと節税効果を受けられないことです。ワンストップ特例は、1年間の寄付先の自治体が5つ以内の場合に限って、確定申告をせずとも寄附金控除を受けられる手続きです(*)。

(*)ワンストップ特例の手続きをした後に確定申告をすると、ワンストップ特例が無効になってしまうので、確定申告書で寄附金控除を必ず記載してください。

先ほど、10万円を寄付したら、自己負担2000円で3万円相当の返礼品を受け取れると書きました。しかし、もし手続きに不備があると節税効果が得られず、自己負担10万円で3万円相当の返礼品を受け取ることになり、かえって損することに。

手続きをしてはじめて節税効果が得られるので、申告を忘れないようにしましょう。