ジュニア選手の自立と多様な経験を促すプロジェクト
ジュニア選手に海外経験を積んでもらうことを目的に「次世代特別強化支援プロジェクト」も立ち上げた。KAMPO JUNIOR OPENの結果も踏まえて、選手を国際大会に派遣する新たな取り組みだ。
「同行するのはナショナルチームのコーチのみで親御さんは付き添いません。車いすユーザーの我が子を心配する声もあったようですが、選手の自立を促すというJWTAさんの趣旨に私たちも賛同しました」(佐々木さん)
多感な時期の子どもたちの海外派遣には他の国や地域の選手たちとの交流を通じ、多様な文化や言語、マナーを学べるメリットもある。「次世代特別強化支援プロジェクトは心技体すべてで世界に通じるアスリートの育成を目的にしています」と佐々木さん。
ちなみに2023年と2024年大会を連覇した16歳の橘龍平は、本プロジェクトを通じて2023年12月にトルコで開かれたITF公認大会に出場。2024年5月、ジュニア代表チームの一員として出場した「2024BNPパリバ・ワールドチームカップ」トルコ大会では銅メダルに輝いた。
さらにKAMPO JUNIOR OPENで2度目の優勝を果たした今年7月、世界ジュニアランキングを12位から10位に上げて世界のトップ10圏内に入った。
「小田選手のようなトップ選手が世界で活躍する姿を見て、それに続こうと頑張る若い選手たちが自分たちもそのレベルまで行けるんじゃないかと希望を持ってくれる。それが非常に嬉しいですし、日本全体のレベルも上がっていると思います」と目を細めるサステナビリティ推進部部長の浅倉さん。
その表情には単なるスポンサーの枠を越えたアスリート愛がにじみ出ている。
写真/越智貴雄[カンパラプレス]・ 文/高樹ミナ