「スエヒロタケ」は最も複雑な「文」を作るキノコだった
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今回の研究で調査対象となった4種類の菌類は、食用にもなる「エノキタケ」、南極以外のほとんどに生息する「スエヒロタケ」、冬虫夏草の一種である「サナギタケ」、発光キノコの一種である通称「幽霊キノコ (Omphalotus nidiformis)」でした。
研究者たちが電気活動の分析データを比較したところ、最も複雑な「文」を作るのがスエヒロタケであり、次いでサナギタケであることが判明します。
また「文」の複雑さは菌の種類を予測できる因子でもありました。
菌類たちが異なる「文」を生成する原因として研究者たちは、種によって異なる「方言」を持つからであると述べています。
今後、研究者たちは種間の「方言」の違いや文法の解釈法を調べるとともに、分析方法の最適化を行っていく、とのこと。
もしこれらが解明されれば菌類の文法構造や構文、単語の意味が解明され、菌類の言語を解読できるかもしれません。
また重要な点として、菌類がネットワークと電気信号で情報処理を行っている場合、菌類は体全体に脳としての働きがあることになります。
だいぶクレイジーな主張にも聞こえますが、SFでは菌類が作るネットワークに知性が宿るという設定もよくみられます。
もしかしたら、そこにはある程度の真実が含まれているのかもしれません。
※この記事は2022年4月公開のものを再掲載しています。
参考文献
Fungi May Be Communicating in a Way That Looks Uncannily Like Human Speech
https://www.sciencealert.com/fungi-communicate-with-patterns-that-look-uncannily-like-our-own-speech
元論文
Language of fungi derived from their electrical spiking activity
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsos.211926
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。
大学で研究生活を送ること10年と少し。
小説家としての活動履歴あり。
専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。
日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。
夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
海沼 賢: ナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。