「つらいと思ったらスマホを置いて」
──ご自身はさほど影響がなかったようですが、昨今、ネットでの誹謗中傷が大きな問題になっています。そのことについては、どう思われていますか。
議員は公人ですし、言ってしまえば年じゅう誹謗中傷されているようなものなので、比較的耐性があるのかなと思います。それに、議員には「こういうことがあっても支えていくよ」と言ってくれる秘書や地元の方がいるんですよ。だから孤独はあんまり感じませんでしたし、それほどつらくはなかったと思うんですよね。
ただ、やっぱり一般の方……誹謗中傷に遭われて自殺を考えてしまう方の中には、孤独を抱えている場合もあると思います。そういう方は、“切り離して考える”ということをしてほしいなと。
私も経験しましたが、ネットで「死ね」と言われているからといって、外で同じような言葉を浴びせられるかというと、それはない。ネットとリアルはまったく違うので、切り離して考えてみてほしいなと思います。
──現在はSNSをほとんど更新していませんが、これは誹謗中傷と何か関係があるのでしょうか?
政界引退後も、最初は政治や社会問題に関してよく投稿していたんですけど、なんか、あまりにも政界にいいニュースがなくて。心がクラクラして「1回休もうかな」と思ったんです。自分に向けられる言葉が嫌だったというよりは、社会や政治であんまりいい話がないな、と。
──誹謗中傷で悩まれている方や、そして心ない言葉を書き込む人に対してご意見をお願いします。
まず悩んでいる方には、「逃げることも大事」と言いたいですね。私の場合も炎上しているときほど「写真撮ってください」「握手してください」と言われましたし、しょせんネットは社会の一部です。そればかりに囚われずに、つらいと思ったらスマホを置いて、最悪な結果になる前にちょっと外に目を向けてみてほしいですね。
誹謗中傷の書き込みをする人には、脅しじゃないですけど、「開示請求とかでいろいろバレるよ?」「慰謝料請求されるよ?」と言いたい。私が批判されていた当時、ネットでの誹謗中傷は今よりも酷かったと思います。それは、匿名性が担保されていると皆が勘違いしていたからで、すごく過激で粘着質だった。
でもそれは幻想で、プロバイダ責任制限法に基づく開示請求で身元はバレる。コメントするにもリスクがあるということがさらに広まって、誹謗中傷がなくなっていけばいいなと。まぁ「どこまでが意見で、どこまでが誹謗中傷か」という問題もあるので、難しいとは思うんですが……。
今って昔に比べて「多様性」と口にされるわりには、自分と違う意見を一切受け入れない人も多いじゃないですか? でも、自分とまったく同じ意見の人なんていないし、家族とだって喧嘩するわけですよね。
なので、もうちょっと広い気持ちを持って、自分と考えが違うのであれば、しっかり意見交換してほしいです。違う意見を聞いたら自分を高められるし、それが勉強じゃないですか。インターネットに書かれているのは悪いことばかりじゃないと思うんで、そういうふうになっていけばいいなって思います。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班