漫画家と販売の仕事に従事しているタジマさん。ある日、同僚が男性のお客様に商品の案内をしていると、理不尽に怒鳴りつけられてしまいます。接客が気に食わないといい、怒りが収まりませんでした。間に入ったタジマオオカさんも高圧的な態度で責められ続けられますが……? 作者のタジマオオカさんにお話を聞きました。



店員の些細なひと言で態度が急変する男性客(タジマオオカさん提供)

【マンガ本編】「手頃なもの」と頼まれ「お求めやすいもの」をお勧めしたら客が怒鳴りだした! 理不尽なカスハラへの対処が見事

「お客様は神様」に対する勘違いが原因で生まれるカスハラ

 漫画家・イラストレーターのタジマオオカさん(@pu92yu)は、現役で販売の仕事をしています。ある日、同僚が男性のお客様に商品の案内をしていると、理不尽に怒鳴りつけられてしまいます。接客が気に食わないといい、怒りが収まらない様子です。そこでタジマオオカさんは、以前教わった「場所」「人」「状況」を意識して間に入って冷静に対応します。すると、最初は高圧的な態度で責めていた男性の態度が変わっていき……?

 タジマオオカさんによるエッセイマンガ『お客様は神様ですか?カスハラ奮闘記』が話題です。KADOKAWAが運営しているWebメディア「ウォーカープラス」にて、『お客様は神様ですか?』というタイトルで連載中の作品で、2024年7月22日に書籍化がされました。

 本作はタジマオオカさんが、実際に職場で体験した出来事や感じたことなどマンガ化したものです。今回はそのなかの第10話の「販売員は責めてもいい存在?」をご紹介します。

 読者からは「悪質なクレーマー、カスタマーハラスメント対しては世の中全体が毅然としてNO叩きつける社会になっていってほしい」「他人に突然悪意をぶつけられると冷静には対処できません。会社として働く人を守る対策を進めてほしいです」「金を払っているから偉い、だから何しても何言ってもいいと勘違いしている人が多すぎる」などの声があがっています。

 タジマオオカさんは、ほかにもSNSで仕事のことだけではなく、自身の日常や体験をマンガやイラストで描いて投稿しています。

 作者のタジマオオカさんにお話を聞きました。

ーー実際に経験された貴重なエピソードを共有して下さりありがとうございます。本エピソードはタジマオオカさんのエッセイマンガ『お客様は神様ですか?カスハラ奮闘記』(KADOKAWA)に収録された一幕でした。このときの状況や、タジマオオカさんの心境を詳しく教えて下さい。

 このときは2名体制での接客中に同僚がからまれてしまいました。それまでの積み重ねで、何かあったら間に入ろうと決めていたので、様子を見ながら冷静に声を掛けることができました。何か揉めごとがあったとき、落ち着いて対処するのがとても大事だと実感しました。



理不尽なカスタマーハラスメントと向き合ったコミックエッセイ『お客様は神様ですか?カスハラ奮闘記』著:タジマオオカ(KADOKAWA)

ーーとても繊細な内容で、現場で働く従業員さんの視点から描かれています。今作を描くうえで工夫した点や、こだわったポイント、特に力を入れた思い入れのあるシーンやセリフなどはありますか?

 カスハラをしてしまうのは「いかにもやりそう」な人ではなく、一見普通の人です。このマンガを描くうえでカスハラする人を誇張して描くことも考えましたが、なるべくそうならないように気をつけました。セリフなどに関してもそのときに交わされた会話をそのまま書いています。

ーー顧客が企業や従業員に対して理不尽なクレーム、言動をする「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が社会問題になっています。改善に向けて個人や社会全体で取り組むべきことなど、「カスタマーハラスメント(カスハラ)」の現状に対してのタジマオオカさんの考えを教えて下さい。

 個人では現状、我慢してその場をやり過ごすことしかできません。それは相手の気が済むまで罵倒され続けるということです。

 改善に向けては12話以降で描いていますが、会社であれば上司、お店なら店長など力のある立場の人がどれだけ現場に関心を持って向き合い、行動してくれるかが大きいと思います。