日本国内の鉄道駅の数は、約9000駅。その半数近くが駅員のいない無人駅だと言われている。東京や大阪、名古屋などの大都市圏ではほとんどが有人駅だが、列車の本数、利用客数がともに少ない地方では無人駅ばかりだ。しかも少々意外に思うかもしれないが、こうした駅の中には特急停車駅も珍しくない。

 ただし、JR各社でも偏りがあり、突出して多いのが北海道と四国の管内。調べたところ、北海道では71駅中16駅で22.5%(※季節限定運行の「フラノラベンダーエクスプレス」、「特急ニセコ号」の停車駅も含む)、四国では53駅中18駅の34%とさらに多い。

「この2社はJRグループの中でも特に厳しい経営を強いられており、退職者の増加が深刻化。国鉄から分割民営化した1987年と比較するとほぼ半減しています。財政的、人的な面からも利用客数の少ない地方駅に駅員を配置する余裕はないんです」(鉄道ライター)

 特にJR北海道は10月1日から室蘭駅を無人駅とすることを発表。鉄鋼業が盛んで道内有数の工業地帯があり、札幌や本州から出張で訪れるビジネスマンも多い。現在は札幌駅との間に「特急すずらん」が6往復運行しているが、特急でも途中停車駅ではなく始発・終着駅が無人駅となるのは異例の事態だ。

「北海道の主要都市のひとつとはいえ、昨年度の1日の平均乗車人員は521人。利用客の少なさを考えれば仕方ないですけど、四国も含めて駅員のいる特急停車駅の半数以上はこの数を下回っているのが現状です」(同)

 そうなると1日の利用客が500人以下の特急停車駅は、現時点では有人駅でも将来無人駅となってしまうのだろうか?

「あくまで各社の判断ですし、全部が無人駅になるとは思いませんが、今後増えていく可能性は高いと思います」(同)

 地方では駅員が常駐する駅自体が貴重な存在となりつつあるようだ。

※画像は10月から無人駅となる室蘭駅

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