再浮上を目指すルネが、ティームらを指導した名コーチを臨時採用「練習してきたことを試すのが楽しみ」と好感触<SMASH>

 男子テニスの次代を担う存在と目される21歳のホルガー・ルネ(デンマーク/世界ランク14位)。矢継ぎ早にコーチを替えることでも話題を提供している彼が、またまた新たなコーチを迎え入れた。といっても、これは今秋のアジア・シリーズに限った採用で、ルネ自身がデンマークメディアの『TV2』で説明している。

「杭州オープン(9月18日~24日/ATP250)とそれに続くアジアのトーナメントでは、ベンジャミン・エブラヒムザデを僕のコーチとして帯同します」とルネ。44歳のエブラヒムザデ氏はこれまでにアンジェリーク・ケルバー(ドイツ/元1位)、ドミニク・ティーム(オーストリア/元3位)、スタン・ワウリンカ(スイス/元3位)、アンドレア・ペトコビッチ(ドイツ/元9位)らを指導してきた名コーチ。自身もイラン代表としてデビスカップに出場したことがある元選手だ。

 昨年の8月には自己最高の世界4位にまでランクアップしたルネだが、今年はツアー優勝が1つもなく、年頭の「ブリスベン国際」(ATP250)準優勝が最高成績。4月以降はトップ10から陥落し、先の「全米オープン」では1回戦で敗れるなど苦しんでいる。

 それと軌を一にするように、コーチの変更も頻繁だ。昨年終盤に元世界王者のボリス・ベッカー氏(ドイツ)を、年末にはロジャー・フェデラーの元コーチであるセベリン・リュティ氏(スイス)を招聘したが、共に今季序盤に短期間で決別。2月には元コーチのパトリック・ムラトグル氏(フランス)を再招聘するとともに、ルネをジュニア時代から知る元世界41位のケネス・カールセン氏(デンマーク)もコーチに招いた。なおムラトグル氏とは7月に袂を分かっている。
  そんな状況なので、現在常任コーチの座にあるのはカールセン氏だが、10月後半から始まるヨーロッパでのツアーに備え、彼は休暇を取っているという。

「ウインブルドン後の多忙な時期を経て、当初の予定に加えて米国でも6週間過ごしたので、カールセンはデンマークで休養中です。コーチとして鋭い感覚を保つためには、休暇は取らなくてはいけません」とルネ。そこで臨時に呼び入れたのがエブラヒムザデ氏というわけだ。

「モナコでベンジャミンとトレーニングしましたが、有意義でしたね。ここ数カ月、僕のゲームで課題となっていた幾つかの分野を意図的に練習しました。今は試合に出て、練習してきたことを試すのが楽しみです」

 このようにエブラヒムザデ氏とのタッグに好感触を得ているルネ。今後のビジョンについてこう語る。「僕は楽観的で、今年をうまく締めくくることができると信じています。最後のスプリントで力強く走り抜ければ、トリノでのシーズン最終戦に間に合うと思います」

 11月中旬に行なわれる「ATPファイナルズ」に出場できるのは8名のみ。現在、その座を競うレースランキングでルネは16位と後れを取っているが、短期間での挽回なるか、注目されるところだ。

 なお、ルネは本日行なわれる新コーチとのデビュー戦、杭州オープン初戦(2回戦)で、日本の内山靖崇と対戦する。

構成●スマッシュ編集部

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