プロテニス選手は、高度なショットをいとも簡単に叩き込む。なぜあんなボールが打てるのか? その秘訣をプロ本人に明かしてもらうシリーズ。今回は早稲田大学卒業後プロ転向し、飛躍的に成長した倉持美穂選手の3回目。両手バックハンドでのアプローチショットについて教えてくれた。
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攻守の切り替えと言いますか、ラリーの中で浅いボールが来たら中に入って打つというのは、普段の練習でも取り組んでいます。そうやってタイミングを上げられると相手も嫌だと思うので、日頃から前へのチャンスは見逃さないように意識していますね。
そういう姿勢は特にプロになってから強くなりました。大学の頃は後ろでラリーするのがメインでしたが、プロでは甘いショットを見逃していては勝てません。自分から取りに行くポイントが増えたのは、変わった点だと思います。
この写真は相手のボールが浅くなったのを、前に入って両手バックでアプローチしたショットです。技術的にポイントとなっているのは、ステップインの仕方です。最初の足の入りが早くできており(写真1コマ目)、そこから左足で蹴って、右足を大きく前に出せています(2~3コマ目)。
ここでどれだけ前への1歩の入りを大きくできるかが大事なんです。その後はボールに合わせてステップを微調整して(4コマ目)、最後は右足を大きく踏み込めています(5コマ目)。
この流れがあるから、アプローチを打った後も自然に足が出て、十分に前でスプリットステップできているわけです(10コマ目)。打つ前のボールへの入りと、打った後の詰めが一連の流れでできるかが、アプローチでは大切になります。
スイングに関しては、少しスピンをかけてコントロールすることを心掛けています(5~7コマ目)。思い切り強打してしまうと、身体が前に行っているぶん、ミスのリスクが高くなるからです。
アプローチというのは、一発で決めようとするのではなく、この後のボレーとかスマッシュなど次につなげるショットだと私は認識しています。
【プロフィール】倉持美穂/くらもちみほ
1998年6月9日、神奈川県生まれ。166cm、右利き。2020年に関東学生を制し、21年に早稲田大学を卒業と同時にプロ転向。WTAノーランキングからスタートし、昨年はITFツアーで2勝するなど、現在(24年9月)は361位までランクを上げている。国内ランクも卒業時73位から24年春には12位までアップ。鋭い攻守の切り替えが持ち味。SBCメディカルグループ所属。
構成●スマッシュ編集部
取材協力●SBCドリームテニスツアー
※『スマッシュ』2023年2月号より再編集
【連続写真】倉持美穂の両手バックハンドのアプローチショット『30コマの超分解写真』
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