シクサーズとMAX額の延長契約を結んだエンビード「このコミュニティへチャンピオンシップをもたらす時」<DUNKSHOOT>

 現地時間9月20日、フィラデルフィア・セブンティシクサーズは、ジョエル・エンビードと複数年に及ぶ延長契約を結んだことを発表した。

 チーム側は契約内容の詳細を公表していないものの、米スポーツ専門局『ESPN』、スポーツ専門メディア『The Athletic』の報道をまとめると、金額は3年1億9290万ドル(約279億7050万円/1ドル145円換算)のMAX額。最終年はプレーヤーオプションで、現行の契約と合わせると2024-25シーズンからの5シーズンで総額2億9950万ドル(約434億2750万円)を受け取ることとなる。

 エンビードは2014年のドラフト1巡目3位でシクサーズから指名後、足のケガで2シーズンを全休するも、2018年から昨季まで7年連続でオールスター入りし、オールNBAチームに5度選出。2021-22シーズンには海外出身選手として初の得点王となり、翌2022-23シーズンも得点王、さらにはMVPにも選ばれたのだから、MAX契約にふさわしい実績を残してきたと言えるだろう。

 キャリア9年目を迎える30歳のビッグマンは、リリースを通じて次のように述べている。
 「シクサーとしてスタートし、残りのキャリアもここで終えたい。カメルーンからやって来て、ドラフトされた当時は何もわからずにいた20歳の若者にとって、フィラデルフィアにいられたことがどれほど幸運だったことか。浮き沈みを経験していく過程で、この街とファンの皆さんがすべてでした。私のことを受け入れてくれたことにすごく感謝しています。

 ジョシュ(ハリス/マネージングパートナー)とデイビッド(ブリッツァー/共同マネージングパートナー)、そしてこの組織にいる全員へ感謝しています。フィラデルフィアはホームであり、このコミュニティへNBAのチャンピオンシップをもたらす時です」

 昨季のシクサーズはエンビードの長期離脱もあってイースタン・カンファレン7位の47勝35敗(勝率57.3%)と、ここ7シーズンでワーストの戦績に沈んだ。第7シードで臨んだプレーオフでは第2シードのニューヨーク・ニックスに2勝4敗で敗れている。

 それでも、エンビードは39試合の出場で平均34.7点、11.0リバウンド、5.6アシスト、1.18スティール、1.69ブロックにフィールドゴール成功率52.9%、フリースロー成功率88.3%とアンストッパブルな成績を残した。 リベンジに燃えるチームは今夏、タイリース・マキシー、ケリー・ウーブレイJr.、カイル・ラウリーと再契約を結んだほか、ポール・ジョージやケイレブ・マーティン、エリック・ゴードンら新戦力を迎え、豪華戦力を作り上げることに成功。

 新たにエンビードとチームメイトになるジョージは「僕たちは同じ考えを持っている。似たような人間なんだ。僕はどちらかと言うと闘志を内に秘めた人間で、彼もそういうタイプ。だから結ばれる傾向にあったんだ。僕らの友情は間違いなく向上しているよ」と語る。
  また、これまでニューオリンズ・ペリカンズでアンソニー・デイビス(現ロサンゼルス・レイカーズ)、ロサンゼルス・クリッパーズでブレイク・グリフィンというリーグ有数のビッグマンたちとプレーしてきたゴードンも期待を寄せている。

「彼はおそらく、(自分の)チームメイトの中で最も支配的なビッグマンになるだろうね。僕はAD(デイビス)、グリフィンともプレーしてきたけど、彼はものすごくダイナミックだから。僕らがお互いのことを理解して一丸になっていけば、ゲームはとても楽になる。彼はそれだけスペシャルな選手なのさ」

 充実のロスターを形成したシクサーズは、9月30日にメディアデーを行ない、翌10月1日に始まるトレーニングキャンプで本格始動する。大型契約を手にしたエンビードを中心に、新体制で悲願のリーグ制覇を成し遂げることができるか、期待は高まるばかりだ。

文●秋山裕之(フリーライター)