小泉進次郎 (C)週刊実話Web

自民党総裁選が佳境を迎えている。

立候補した9人が9月27日の投開票日に向けて日々、しのぎを削っているのはご存じの通り。史上最多の候補者数とあって決選投票は必至との見方がある一方で、「1回目の投票で過半数を獲得する」との観測もあった小泉進次郎元環境相の人気が急落。依然、総裁選の台風の目に変わりないものの、これが原因で党内がざわつきだしているのだ。

舞台裏では一体、何が起きているのか。

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「あの人は令和の『嵐を呼ぶ男』ですよ」

そう語るのは、小泉氏の地元、神奈川県横須賀市に住む支援者だ。

その言葉通り、出馬表明を行った小泉氏は翌9月7日、東京・銀座の4丁目交差点で街頭演説を行い、主催者発表で5000人もの聴衆を集めた。また、8日には横浜市のJR桜木町駅前でマイクを握り、7000人を沸かせ、他候補にはまさに脅威とみられていた。

桜木町駅前では「進ちゃん」と書かれたうちわを持ったギャルが現れるなど、もはやアイドル扱い。告示日の12日に党主催で行った候補者の所見発表演説会では自身の家庭環境を語り出し、会場を驚かせた。

「両親が幼い頃に離婚し、中学2年生までそのことを知らず、母親だと思っていた人はおばでした。弟がいると告げられたのもそのときでした。大学生になり、初めて名字の違う弟と会いました。オヤジとそっくりでびっくりした。それまでの距離が埋まった。それでも、産んでくれた母に会う気になれなかった。会えば育ててくれたおばを裏切ることになると思った」

ここまではよく知られた話である。その後、小泉氏は2児のパパとなり、今年初めて母親に会いに行ったという。実の母親との初対面。この話を小泉氏は初めて披露した。

「会ってよかったと思っています。43年間、会うことなく、名字も違う。それでも家族は家族…」

自身が訴える選択的夫婦別姓の導入に理解を求めるための、お涙頂戴話だったことは明らかだが、実際、涙を流している議員もいただけに、他の候補者にとっては役者の違いを見せつけられた格好となった。 

そんな小泉氏を強烈に意識していたのが同じ40代の候補者、小林鷹之前経済安全保障担当相だ。

迷言連発で能力不足が明らかに

「小林氏は小泉氏のことを、政策を語れない政治家だと見下しているようです。小林氏は財務省出身で政策通です。にもかかわらず、人気は小泉氏のほうがはるかに上。そのため、選択的夫婦別姓についても、記者会見で『強引に結論を出すのは違う』と噛みついたのです」(全国紙政治部記者)

ただ、小泉氏の能力に対する小林氏の読みはあながち的外れでなかった。公示日以降の数日間に発せられた、数々の“迷言”で小泉氏の能力不足が明らかになり始めたからだ。

環境大臣時代の2019年に国連の気候行動サミットに出席した小泉氏が「気候変動のような大きな問題は楽しく、クールで、セクシーに取り組むべきだ」と発言し、物議を醸したことは今や語り草となっているが、記者会見で早期解散の不条理性を指摘された際には、「総裁選の日に解散すると思っている人も居るがそれは無理だ」と、論点のズレた言葉を発したほど。

さらに、地方討論会で男子学生が大学生の奨学金返済をめぐる問題について「40歳まで返済が続く中で結婚や子育てができるのか不安だ」という発言をした際、小泉氏は「大学に行くのがすべてではない」と回答した。

また、小泉氏は解雇規制の緩和も打ち出しており、労働の流動性を高めることで経済成長を実現させたいと考えていたようだが、高市早苗経済安保相や同じく総裁選候補で政策通の加藤勝信元官房長官らに「反対」「まだ早い」と難色を示され、「緩和ではなく見直し」と事実上の“公約撤回”に追い込まれた。

そのためか、9月6日には石破、小泉、高市の順だった自民党員・党友を対象とする支持率が14日には石破(25%)、高市(22%)、小泉(19%)と3位に転落。さらに17日には石破(26%)、高市(25%)、小泉(16%)と水を開けられることとなったのだ。

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自民党の国会議員支持率は1位

この失速ぶりは党内でも波紋を呼び、物議やさまざまないざこざを招いているという。話題を呼んだのは三原じゅん子参院議員のケースで、政治部デスクはこう語る。

「3年前の前回総裁選で三原氏は野田聖子元総務相を支援していました。三原氏が政界入りしたのは自民党がスカウトしたのではなく、三原氏自身が政治家になりたいと思い、野田氏を頼り、野田氏が面倒を見たからです。本来であれば、今回、推薦人の確保に困っていた野田氏の元に真っ先に駆けつけるべきなのですが、三原氏が小泉氏を支援したため両者の間にひずみが起きているのです」

実際、三原氏はホームページに「私が今、自民党の国会議員でいられるのは野田聖子大臣が、野党時代の自民党に何度もお願いをしてくださり、比例代表で12年前出馬をさせていただきました。このご恩は絶対に忘れない」と書き込んでいるほど。

だが、神奈川県選出の三原氏は、党県連名誉顧問の菅義偉元首相に従い、「小泉氏支持」を表明。あっさりと野田氏を裏切った姿勢に、党内からは「変わり身の早さに驚いた」(中堅)との批判が出ていたほどなのだ。

結局、野田氏は出馬を断念。小泉氏の推薦人となったわけだが、同じ小泉陣営に身を置く三原氏と野田氏との間には「微妙な空気が流れていた」(陣営関係者)という。それが小泉氏の支持率失速で険悪さに拍車がかかっていたのだ。

「さらに、野田氏はもともと石破氏と連携を模索していたため、この身の振り方とその後の小泉氏の人気失速で、石破陣営との溝もどんどん深まっている。日本テレビは告示日の9月12日に小泉純一郎元首相を取材したが、この際に小泉元首相は『今、総理にならないほうがいいのにね』とコメントしたが、親として息子の経験&能力不足によるこうした状況を見据えていたのかもしれません」(自民党議員)

もっとも、18日に朝日新聞が報じたところでは、自民党所属の国会議員367人のうち、最も多い46人が小泉氏を支持。2位は小林鷹之前経済安全保障担当相で、43人を獲得。石破茂元自民党幹事長、高市早苗経済安全保障担当相はそれぞれ30人の支持者を獲得し3位だったという。

また、人気が落ち始めて以来、党内及び一部メディア関係者らからも小泉氏擁護の声があるほど。

つまり、まだまだ小泉氏には勝機があるわけだが、国会議員と自民党支援者との支持率の差異がどんな結果をもたらすかが見ものだ。