2018年ドラフトでなぜキングスはドンチッチをスルーした?ディバッツGMが理由を語る「決断には様々な背景があった」<DUNKSHOOT>

 2018年のNBAドラフトは、近年最高級の豊作となった。アトランタ・ホークスが全体3位で指名したルカ・ドンチッチ(現ダラス・マーベリックス)、メンフィス・グリズリーズから4位指名されたジャレン・ジャクソンJr.、マブズが全体5位指名したトレイ・ヤング(現ホークス)、シャーロット・ホーネッツが11位で指名したシェイ・ギルジャス・アレキサンダー(現オクラホマシティ・サンダー)、マブズが2巡目全体33位で指名したジェイレン・ブランソン(現ニューヨーク・ニックス)がすでにオールスター入りを飾っている。

 しかもドンチッチとギルジャス・アレキサンダーは今やオールNBA1stチームの常連かつMVP候補にまで成長し、リーグ屈指の実力者となっている。

 その一方、フェニックス・サンズが全体1位指名したディアンドレ・エイトン、サクラメント・キングスが2位で指名したマービン・バグレー三世は、ドンチッチ、ヤング、ジャクソンJr.とともにオールルーキー1stチーム入りしたとはいえ、どちらもトレードを経験し、順風満帆なキャリアとは言えない状況にいる。
  そうした中、当時キングスでゼネラルマネージャー(GM)を務めていたブラデ・ディバッツ(元キングスほか)が、現地時間9月21日(日本時間22日)にクロアチアのメディア『Index』とのインタビューに応じたと『Eurohoops.net』が報じた。

「あのポジション(ポイントガード)にはディアロン・フォックスがいた。1年前のドラフトで私が指名したんだ。あの当時、私は将来フォックスがフランチャイズプレーヤーになれる選手だと思っていたんだ。私が間違っていたかは、時間が経てばわかるさ。現状では劣勢かもしれない。だが私はフォックスが(ドンチッチよりも)いいキャリアを送ると信じている」

 191cm・84kgのフォックスは、キャリア3年目からアベレージを平均20.0点の大台に乗せ、2022-23シーズンには平均25.0点、4.2リバウンド、6.1アシスト、1.1スティールを残してオールスターとオールNBA3rdチームに初選出。初代最優秀クラッチプレーヤー賞にも選ばれた。
  チームもドマンタス・サボニス、ハリソン・バーンズ(現サンアントニオ・スパーズ)、キーガン・マレー、マリーク・モンクらを擁してウエスタン・カンファレンス3位の48勝34敗(勝率58.5%)をマーク。久々のプレーオフ進出も飾った。

 昨季も平均26.6点、4.6リバウンド、5.6アシストに加えて2.03スティールでリーグトップに。26歳のフォックスは3ポイントにも磨きをかけ、リーグ有数のガードへ進化を遂げている。

 一方のドンチッチ(201㎝・104㎏)は新人王に輝き、キャリア2年目からオールスターとオールNBA1stチームに5年連続で選出。昨季は自身初の得点王、さらにはMVP投票でも自己最高の3位に入り、マブズをNBAファイナルまで導いた。

 フォックスが1年目を終えた当時、キングスにはボグダン・ボグダノビッチ(現ホークス)、バディ・ヒールド(現ゴールデンステイト・ウォリアーズ)がいたため、ディバッツは当時の状況をこう振り返る。
 「フォックスはボールを必要とするポイントガードなんだ。私がルカを指名して、フォックスをトレードすべきだったのかもしれない。だが面白いことに、ルカはフェニックスからも指名を見送られた。あの当時、ヘッドコーチにはスロベニア代表でも指揮を執ったイゴール・ココスコフがいたにも関わらずだ。

 アトランタ・ホークスが彼を指名し、ダラスが彼を獲った。ルカを観るのは大好きだし、彼のゲームも本当に気に入っている。だが私が決断した背景にはいろんな理由があった。私が間違っていたのかもしれないが、時間が経てばわかるだろう」

 現時点で、フォックスとドンチッチの評価は後者に軍配が上がることは事実。だがもし、フォックスがドンチッチよりも先にキングスを王座へ導くことになれば、その評価が変わる可能性はあるのではないだろうか。

文●秋山裕之(フリーライター)

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