新フォーマットとなったチャンピオンズリーグ(CL)の初戦で、強豪バイエルン(ドイツ)と対戦したディナモ・ザグレブ(クロアチア)は、ミュンヘンの地で2-9と歴史的な大敗を喫した。試合後に指揮官が職を追われることになるなどザグレブにとっては苦い結果となったが、一時スタジアムをざわつかせる時間帯があった。
0-3で折り返した後半、49分にキャプテンのブルーノ・ペトコビッチのゴールで1点を返すと、50分に連続ゴールに成功。お祭りムードだったアリアンツ・アレーナのバイエルンファンを静まらせ、アウェーまで駆け付けたザグレブファンに希望をもたらしたこの得点を決めたのが荻原拓也だった。
起点作りからチャンスメイクまで自分で演出。自陣深いところでボールを受ける際に、ポルトガル代表DFラファエウ・ゲレイロが猛然とプレスを掛けられるが、これを味方とのワンツーパスで上手くかいくぐり、カウンターをスタート。中盤でヨシップ・ミシッチにボールを預けてそのまま駆け上がり、バイエルンセンターの守備が整っていないのを察知すると、スルーパスにタイミングよくゴール方向へと走りこんで、GKスベン・ウルライヒの守るゴールに流し込んだ。
「ゲレイロを外すところから、結構いい流れでディナモが相手陣内までボールを運べていたので、すごく走りやすかったです。スプリントをかけやすかった。あれはずっとやってきたことだし、ゴールに直結するようなプレーができて良かった」(荻原)
【動画】冷静に股抜き!D・ザグレブ荻原拓也が強豪バイエルンからCL初ゴール
ゴール後には力強いガッツポーズを繰り返し、仲間と喜び合いながらも、気合いに満ち溢れた表情ですぐ次のプレーへと集中していたのが印象的だ。この時間帯のザグレブは攻守で躍動感が一気にアップし、同点に追い付きそうなシーンさえも作り出してみせた。
「夢見た瞬間でもあったんですごく興奮したし、その後の戦い方もよかった。2-3の時は全然戦えていたんで」
試合後ミックスゾーンで取材に応じてくれた荻原は、GKと1対1になった局面でGKの股下を抜くシュートでゴールを決めたのは狙い通りだったことを明かしている。
「ちょっと遅れたって思ったんですけど、見えたんで。最後、冷静に行けたかなと」
ただバイエルンのギアを入れてきたときの破壊力はすさまじく、「(4点目の)失点をしてからは全部崩れたし、みんな疲弊して身体が動かないし。みんなも厳しかったと思います」と振り返るように、その後チームとしての狙いあるバイエルンの攻撃の前にザグレブは失点を重ねていった。
CLデビューと自身のゴールと大敗という結果とで「複雑な気持ち」ではあるものの、「個人として1個1個のバトルでは負けることはなかった」と手応えを掴んでいる。
「かなり疲弊した中でのプレーがずっと続いていたので、かなり厳しい状況でありましたけど、1個1個のデュエルにはこだわって、戦えるところ、自分が行けるなって思うところには全部いけた」
夢の舞台でつかんだ手応えと課題。CLのリーグフェーズはまだ7試合ある。この経験を次へとつなげて、さらなる成長を果たしたい。
取材・文●中野吉之伴
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