中国の広東省深圳市にある日本人学校に通う小学5年生の男子児童が、中国人男性(40代)に刃物で切りつけられる事件が起きたのは9月18日のこと。この日は、満州事変の発端となった柳条湖事件が起きた日で、犯行の背景には強い反日感情があったと見られている。

 反日教育反日プロバガンダが横行するのは、塀の中も同様だ。今年5月まで中国の東莞刑務所広東省)に収監されていたマツダトミオ氏(仮名=50代=※写真)はこう話す。

「私の場合はお金があったから何とかなった。でも、お金がなければ誰も助けてくれない。塀の中では『日本鬼子』(リーベングイズ)と蔑称で呼ばれ、ことあるごとに刑務官から暴言を吐かれる。私と同じように服役していた日本人はプライドをズタズタにされ、耳に入るすべての中国語をシャットアウトしていました」

 マツダ氏は神奈川の組織に身を置くヤクザである。2010年、広東省珠海市において、麻薬密輸に関与した疑いで中国当局に拘束、逮捕され、約14年にわたる拘禁生活を余儀なくされた。マツダ氏が続ける。

「覚えているのは未決の勾留施設で、いきなり中国人に頭を叩かれたこと。その時は中国語が理解できず、何を言っているのかわかりませんでしたが、その中国人は、『お前が酒井法子にシャブを渡したんだ』と罵倒していたことが後にわかりました。酒井法子は中国でも大人気で、『蒼いうさぎ』を知らない中国人はいませんからね。また、刑務所の中ではいわゆる『反日映画』が何度も流れます。その内容は凄惨で、中に出てくる日本兵が中国の農村で性虐待など暴虐の限りを尽くすというもの。欧米の受刑者も『これは大げさすぎる』と首をかしげていましたが、そうやって『反日』に洗脳していくのが中国共産党のやり口なんです」

 中国当局による「反日教育」は獄中でも徹底されていたようだ。

 今回、深圳市の刺殺事件は、柳条湖事件の日に起きたが、マツダ氏によれば、在中国の日本人が最も警戒すべきなのが12月13日なのだという。

「12月13日は南京事件が起きた日で、中国では国家哀悼日と位置づけ、1週間ほど前からテレビのニュース番組は1時間延長して特集プログラムが放送されます。刑務所内では強制的にこの番組を見せられ、徹底的に反日感情を植えつけられます。そんな事情もあって、金も力もない日本人受刑者は徹底的にいじめ抜かれる。もっとも、中国共産党に洗脳されていない中国人も少なからずいて、彼らとは助け合い、友情を育みながら、つらく長い刑務所暮らしを耐えることができました」

 今後、中国で日本人を標的にした凄惨な事件が起きないことを祈るばかりだが、反日感情を煽り続けてきた中国当局には猛省を促したいものだ。

(編集部)

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