桂文枝の大阪市24区創作落語プロジェクト『参地直笑祭in生野区』が、9月8日(日)にリゲッタIKUNOホール(生野区民センター)で開催されました。この日は文枝のほか、シンクタンク(近江のこかじろう、タンク)、桂三幸が出演。エンディングには生野区のマスコットキャラクター“いくみん”も登場し、集まった地元のお客さんたちに笑いを届けました。
出典: FANY マガジン
セーヌ川やエッフェル塔を見ながら…
今回で19弾を迎えた「参地直笑祭」は、2018年からスタートしたプロジェクト。大阪市と吉本興業が締結した地域活性化などを目的とした包括連携協定に基づいて、文枝が大阪市24区それぞれの特色を盛り込んだ創作落語を作り、地域の魅力を発信しています。
前説には、“生野区住みます芸人”のムジンゾウ(夢、りん)が登場。「最近、近所に回転寿司ができましたよね! みなさん、もう行きました!?」と生野区で生まれ育った同級生の2人が元気に呼びかけて、地元トークで盛り上げます。
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そして、スーツ姿の文枝がステージに登場すると、会場は大きな拍手に包まれました。「参地直笑祭」では毎回、テーマとなる地域に実際に足を運び、落語のためのネタ探しをする文枝。オープニングトークで「生野区には5回通いましたが、途中からどこが生野区かわからなくなった(笑)」と振り返りました。
仕事で訪れていたパリから、前日に帰国したばかりだという文枝は「セーヌ川やエッフェル塔を眺めながら、生野区の落語を考えていました。(生野区と)あまりに雰囲気が違うから難しかったです」と笑わせます。パリで生み出したという創作落語のタイトルは、「しあわせの愛ラブ湯ー」です。
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文枝の落語の前に、会場をあたためたのはシンクタンクの2人。「オレオレ詐欺」「健康診断」など来場者に親しみのあるテーマで、自虐も交えて笑いを量産します。お客さんに語りかけるような、息のあった掛け合いを見せました。
続いて文枝の弟子である三幸が登場。故郷の愛媛県に住む母との小咄で笑わせると、愛媛の名産にちなんで古典落語「みかん屋」を披露します。初めてみかんの売り子を任された男が商売に苦戦する様子を軽快に口演しました。
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「住みやすくて外国の人にやさしい街」
そして、いよいよ文枝が高座へ。生野区は韓国や中国、ベトナム……など住民の22%を外国人が占めています。外国語を知らないと寄席ができないということで、大学時代にフランス語を学んでいたという文枝による外国語講座がスタート。さまざまな言語の“なぜか日本語に聞こえてしまう単語”を紹介して爆笑を起こしながら、生野区を舞台とした創作落語へ突入します。
生野区内の銭湯「百草湯」のサウナで倒れて救急車で運ばれた82歳の井川を助けてくれたのは、ネパール人の若者で……。そんな生野区ならではの出会いから始まる物語は、人情味あふれるやりとりを軸に展開します。
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命を助けてくれたネパール人の若者に、どうしてもお礼をしたい井川。「『あらい』の焼き肉に連れていってあげる」「巽北の『はるやま』でスーツを買ってあげる」など、生野区民におなじみの店名が飛び出すと会場は大ウケです。噺の最後は、ネパールへ帰ることになった若者のある決断が感動を呼びました。
エンディングのトークコーナーには、白いスーツ姿でキメた筋原章博区長がギターを抱えて登場。CDデビューも果たし 、“歌う区長”としても有名な筋原区長は、生野区のマスコットキャラクター“いくみん”も応援にかけつけるなか、「文枝師匠にお礼の気持ちを歌で伝えたい」と話します。
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過去に大正区長、港区長も務めた筋原区長の申し出に、文枝は「前にも歌を聴かせていただきましたよ。またぁ?」と呆れ顔。そんな姿に笑いが起きながら、区長はお客さんの手拍子を受けて、陽気な歌声でワンフレーズを披露しました。
文枝は「“みんなに楽しんでもらいたい”という区長さんの気持ちがうれしいですね」と感謝すると、最後に「生野区は、住みやすくて外国の人に優しい街。大阪で、いちばん国際的な区だと思います」と挨拶してイベントを締めくくりました。