今後の世界情勢を大きく左右するであろう米大統領選まで2カ月を切る中、9月5日、ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)に寄せた動画で「選挙結果がハッキリ見えた」「ハリスが勝利する」と断言し、全米メディアの注目を一身に集めた人物がいる。世界的な数量歴史学者でアメリカン大学教授のアラン・リクトマン氏(77)だ。

 とはいえ、この数量歴史学者の予測に、なぜ全米メディアの熱い視線が注がれたのか。そこには大きな理由がある。外報部記者が語る。

「実は、リクトマン教授は過去40年間の米大統領選予測をほぼすべて的中させてきた、『大統領選予測のノストラダムス』と呼ばれる人物なんです。同氏が唯一予測を外したのは、共和党のブッシュ氏と民主党のゴア氏とが激しいデッドヒートを繰り広げた2000年大統領選のみ。16年の大統領選では、全米メディアがこぞってヒラリー・クリントン氏勝利を報じる中、トランプ氏勝利を言い当てたことで『的中率9割の数量歴史学者』との名で呼ばれるようになったというわけなんです」

 リクトマン教授が基準としているのは、自身が「ホワイトハウスへの13のカギ」と呼ぶ独自の予測システムで、教授はこの13のカギをもとに政権与党による統治の「全体像」をつかむのだという。

「教授いわく、この『13のカギ』は、時代の変化に関係なく安定した道標である北極星のようなもので、そこには各候補のカリスマ性や経済・社会状況など13項目に渡る独自の指標が記され、各々のカギが『真実』か『真実でない』かを判断。うち『真実』が8つあれば与党勝利となり、逆に6つ『真実でない』カギがあれば与党が負ける、というもの。今回の分析でハリス候補は、『主要な第3政党候補がいない』『短期的な経済状況が堅調』など、8つのカギが『真実』となり、一方、トランプ氏のほうは『政権与党が中間選挙の下院選で勝利』『現職大統領が再選出馬』など『真実』という結果は3つだけだった。なお、『外交・軍事政策』に関する2つのカギについては、ロシア・ウクライナ戦争及び、イスラエル・ガザ戦争が混沌としており、いついかなる事態に移行するか想定できないため保留と判断され『未定』となったようです」(同)

 ただ、同教授によれば、仮にこの2つがハリス氏側に不利に働いたとしても、トランプ氏に逆転の余地はなく、ハリス氏が有利であることに変わりはないという。

「同教授は、1973年からワシントンのアメリカン大で教鞭をとっているのですが、この『ホワイトハウスへの13のカギ』という独自のメソッドは、81年に旧ソビエト連邦出身の数理地質学者、ウラジーミル・ケイリス=ボロク教授と共同開発した手法だとされています。今回、“ノストラダムス”の分析結果により、与党、つまり民主党が勝利した場合、ハリス副大統領が第47代アメリカ大統領になるわけですが、トランプ氏は今回の出馬を最後に政界からは離れるとの意向を示しているとも伝えられる。そうなれば、ハリス氏がトランプ氏に印籠を渡した、という事実は未来永劫歴史に刻まれることになるわけです。新たな時代の夜明けが始まるかもしれませんね」(同)

 ともあれ、大統領選まで、泣いても笑っても残すところ、あとわずかだ。

灯倫太郎

【写真ギャラリー】大きなサイズで見る