今や大都市圏だけでなく地方にも当たり前のように建っているタワーマンション。相変わらず建設ラッシュは続いているが、人気はすでに下火になっているとの声も聞かれる。

 ここ数年、不動産価格は高騰しており、不動産経済研究所の調べによると、今年8月時点の首都圏の新築マンションの平均価格は9532万円。タワマン以外の物件も含む価格とはいえ、関東1都3県で新築を購入するには1億円以下では手が届かなくなりつつある状況だ。

 それでも同月のタワマンの成約率は97.8%と非常に高いが、一方では供給過多になり始めているとの指摘もある。

「新築と違って売れ行きが伸び悩んでいるのが中古のタワーマンション。都心ではすでに築20年前後の物件が増えています。遠目からだと立派に見えますが、実際には経年劣化が目立ち始めています」(不動産業界誌記者)

 タワマンなど鉄筋コンクリート造マンションに分類される建築物の法定耐用年数は47年。特に中古は物件としての価値も魅力も薄れつつあり、このままではタワマンが高度成長期に全国に乱立した団地のような存在になり果てる可能性もある。

「昭和30~40年代、団地はオシャレで機能的な最先端の住宅として人気を集めていました。ところが今は取り壊された物件も多く、現存している建物もリノベーションされた一部の物件を除くと老朽化が著しい。タワマンもあと数十年経つと、このような存在になり果ててしまう可能性はあるでしょうね」(同)

 しかも、タワマンは団地より大規模修繕の費用がかかり、1世帯あたりの負担も大きくなる。これが経年劣化をさらに早めてしまう恐れがあるという。

「多額の修繕積立金を払っても足りないケースが実際に起きています。追加の負担が必要になった場合、世帯数が多いので住民の合意を得るのが難しく、その影響で修繕工事のメドが立っていないケースもあります」(同)

 タワマンは「令和の団地」、そう呼ばれるようになる日はそう遠くないのかもしれない。

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