ももいろクローバーZの佐々木彩夏が9月28日、東京のZepp Hanedaにて、ソロコンサート「AYAKA NATION Special Edition『VIP ROOM A+』」を開催した。
今年は全国3ヶ所・東名阪Zeppツアーという初の試みに。しかも、ソロコン開催発表時には、『VIP ROOM A+』というタイトルと共に、ベネチアンマスクを付けた2人の男性を従えたモノクロ✕ピンクのキービジュアルを公開して、プニノフ(佐々木ファンの呼称)を驚かせた。今までに見たことがない新たな“あーりんワールド”への期待に胸を膨らませて、ライブに臨んだファンも多かったことだろう。今回は、チケットがソールドアウトとなり、さらにアイドル専門チャンネル「ニコドル」でも生配信されたツアーファイナルのZepp Haneda公演の模様を余すところなくレポートする。
会場がZeppというライブハウスだったのも今回のソロツアーの大きな特徴。当然ながら、1階席はスタンディング。開演前、注意事項を告げる場内アナウンスで「指示があるまではサイリウムの使用はNG」だと伝えられると、慌ててピンクのサイリウムの電源を落とすプニノフの姿も。いったいどんなオープニングなのだろうか?という期待と緊張感が合わさったような空気が漂う中、まずは、4人のダンサーが登場。the showgirlをテーマに、大量のクリスタルが貼り付けられた光り輝くセクシーな衣装とダンスに、プニノフ達も思わず息を飲む。そして、幕が開くと、佐々木がステージ中央に設置された高台でポールダンスを踊りながら登場し、「Lady Cat」でライブがスタート。そして、今回のライブツアーのテーマ曲でもある新曲「Ladybird」へと続く。佐々木のポールダンス、ラスベガスのショーを彷彿させるような豪華なセット、きらびやかな照明やレーザーの演出でのライブの幕開けに、多くのファンが今回のソロコンはひと味もふた味も違ったものになると確信したことだろう。
最初の2曲では、佐々木の姿を見逃すまいとじっと見つめながら聴いているプニノフの姿と佐々木がポールダンスを披露する度に大きな歓声が上がったのがとても印象的だった。特に最初のブロックはサイリウムの使用が禁止となっていたため、暗い客席側との対比で、豪華なステージセットがより輝いて見えた。Zeppではあまり見られない、ホールでのライブで組まれるような豪華なセットは圧巻だ。
3曲目はロックテイスト溢れる「Bunny Gone Bad」。骨太なバンドサウンドに引っ張られるように、プニノフのコールにも力が入る。ソファーに座りながらの歌唱、男性ダンサーとの共演、スモークの演出といった要素も相まって、今回のソロコンの特別感は加速していく。
そして、ステージ上でそれまでのセクシーな衣装から佐々木の元気一杯な一面を表現したネオンミックスの華やかなワンピースパーカー衣装へとチェンジし、次のブロックへと突入。4つ打ちのリズムに乗ってクラップが刻まれると、佐々木はステージ中央のDJブースへと移動し、DJタイムに突入。「ここからはサイリウムをピンクに点灯させて、盛り上がっていきましょう!」と煽ると、ピンクのヘッドフォンをしてDJプレーする佐々木の姿がモニターに映し出される度に、プニノフが釘付けになっていく様子が感じられた。
佐々木はDJ A-RINとして「レナセールセレナーデ」や「走れ!」など、ももクロの人気曲を繋いでフロアを沸かせていく。特に、「走れ!」のサビで、ピンク一色のサイリウムが左右に揺れる光景は多幸感溢れるものだった。しかし、ここからはさらにその多幸感を更新していくことになる。DJタイムに続くブロックでは、ダンスナンバーにリミックスされた「Z女戦争」、「サラバ、愛しき悲しみたちよ」、「DECORATION」というももクロのライブ人気曲をメドレーで披露。ツアーも3公演目ということで、男性ダンサーとの息もぴったりだ。メドレーは、最後に再び「Z女戦争」に戻るという構成になっていたのだが、「伝説のはじまり」という歌詞が今日のライブでは特に印象的に鳴り響いた。
さらに、ももクロの最新アルバム『イドラ』収録曲の「桃照桃神」、「リバイバル」、佐々木のソロ曲「Girls Meeting」へと続き、次のブロックへ。続いてはダンサーパフォーマンスパートとなり「キューティーハニー」や「SPECIALIZER」など佐々木の代表的なソロ曲が流れる中、ダンサーが次々に登場し、会場をさらに温めていく。
スモーキーカラーのフェザードレス衣装へとチェンジした佐々木が再びステージに登場すると、「Memories, Stories」で後半戦がスタート。ももクロの冬の人気曲「白い風」などを手掛けた多田慎也によるバラート曲だ。霧がかかったような幻想的な照明の中、この曲では佐々木のほか、女性ダンサー1名がステージに登場。時に、佐々木と交差しながらも、佐々木の後ろでバレエダンスを踊り、光と影を表現。続く「追憶のファンファーレ」では、男性ダンサーと2人でのパフォーマンスに。この曲も今年リリースされたももクロのアルバム『イドラ』収録曲。「桃照桃神」同様に、ライブ初披露となるこの曲が聴けて感激したモノノフ(ももクロファンの呼称)も多かったことだろう。
ポールダンサーのパフォーマンスを挟み、シアターのラインダンスを彷彿とさせるような衣装に着替え、「レディ・メイ」、「Guns N’ Diamond」というももクロのライブ人気曲を畳みかけるように披露。「レディ・メイ」で椅子に座って艶っぽいパフォーマンスを見せたかと思うと、「Guns N’ Diamond」では、羽根付きのハットとステッキを使い、全ダンサーと総勢10名で横一列に並んでパフォーマンスをするなど、ショーがいよいよクライマックスへと向かっていることを感じさせるような演出に。そして、本編最後はカーテンコールの役割も兼ねて、ももクロの「ロードショー」。プニノフのイントロでの「フー!」というコールや力強いクラップ、2階席まで届くほどの銀テープ、レーザーや照明の演出なども相まって、とてもゴージャスなエンディングとなった。
可愛くもあり、セクシーでかっこいい“あーりんワールド”に圧倒され、余韻に浸っていたプニノフも多かったようだが、客席からはすぐさまアンコールに代わる盛大な「佐々木(さーさき)」コールが沸き起こる。すると、「あーりんのこと 佐々木っていうなー!」というお馴染みの歌い出しで佐々木が再び登場し、「あーりんは反抗期!」でアンコールがスタートした。
アンコールのパフォーマンス前には、客席の1人を“超VIP”と称して、ステージに招き入れるというサプライズ企画を発表。この日は、小学生の頃からのももクロファンで、佐々木推しだという女性が選ばれた。曲の後半では、ステージ中央に置かれたソファー席で、佐々木が“超VIP”だけに向けて歌うというスペシャルな演出も。終始涙ぐむ“超VIP”に、佐々木が「近くで見たあーりんの感想は?」と聞くと、「神様…」と答えて笑いを誘い、会場をほっこりとさせるシーンも。その後もスマホで2ショット撮影するなど、一生忘れられないVIP体験になったことだろう。
次のMCでは、「アンコールは肩の力を抜いて楽しみましょう」と語り、撮影可能曲「あーりんはあーりん♡」へ。佐々木自身も肩の力を抜いてファンサしながらアンコールを楽しんでいる様子が伝わってきた。さらに、「空でも虹でも星でもない」を挟み、最後の1曲は「だって あーりんなんだもーん☆」。アンコールでは、ゆるゆるなトークも見られたが、それも含めて佐々木の魅力だ。ラストは、この日最大のあーりんコールが沸き起こり、お祭り騒ぎのような盛り上がりと一体感で特別なライブ『VIP ROOM A+』はフィナーレを迎えた。
ダンサーを送り出した後の最後のMCでは「年1回のソロコンも気付けば8回目。ここまできたら10回を目指したい。これからも私がやりたいこととみんなが見たいあーりんを追求していく」と語ると、場内が温かい拍手とあーりんコールに包まれる。
今回のライブは「秘密のVIP ROOM」というコンセプトの通り、会場に集まった全てのプニノフがVIP気分を味わえるようなライブとなっていたのではないだろうか。ますます、佐々木彩夏の虜になって帰っていったに違いない。
国民的アイドルグループ・ももいろクローバーZの一員でありながらも、世界最大級のアイドルフェス『TOKYO IDOL FESTIVAL』では、毎年、ソロアイドル佐々木彩夏として初日のトップバッターを務め、所属事務所スターダストプロモーションのアイドル部門「STAR PLANET」の後輩と共に活動するアイドルグループ浪江女子発組合ではプレイングプロデューサーを務めるなど、まさに、唯一無二のソロアイドルのポジションを築き上げてきた佐々木彩夏の集大成でもあり、新境地も見せた今回のソロコンサート。大人の階段を上り続けるアイドル佐々木彩夏が次に目指すのはいったいどんなステージなのか。ファンならずとも次への期待値が高まる、“佐々木彩夏ワールド”全開のソロコンサートとなった。