札幌よしもと所属の芸人、種馬マン(モリマン)が、米ラスベガスのコンベンション・センターで行われたブラジリアン柔術の世界大会『ワールドマスター柔術選⼿権2024』に初出場し、「マスター4(46歳以上)青帯ルースター級」で準優勝しました。これは、つまり世界2位!? 現在54歳の種馬マンは5年前の49歳のときに競技を始め、昨年、青帯を取得しました。初の“世界挑戦”で嬉しい結果となった種馬マンに、その喜びを聞きました。
「ワールドマスター柔術選⼿権2024」の表彰式(本人提供)
【ワールドマスター柔術選手権】
IBJJF(国際ブラジリアン柔術連盟)が主催する、柔術家たちのマスターズ世界大会。30歳以上の選手が出場する大会で、カテゴリーはマスター1(30歳以上)からマスター7(61歳以上)まで年齢別に分かれて、その年代でもっとも強い柔術家を決める。2023年にはガリットチュウ・福島善成が「マスター3(41歳以上)青帯ライト級」で世界一に輝いた。
フルボッコにされて悔しくて始めた
――まずは、柔術を始めたきっかけを教えてください。
始めたのは、5年前の2019年です。本当はポールダンスを習おうと思っていたのですが、友だちに「お前は性格的に、ブラジリアン柔術のほうが似合っている」とワケのわからないことを言われて……(笑)。相方の(ホルスタイン・)モリ夫さんがすでに強いイメージなのに、私が強くなるのもヘンだと思ったんですけど、あまりにも勧めてくるので体験に行ったんです。
――その体験で柔術にハマった、と?
初めは「やっぱり自分には合わない」と思ったんですけど、最後にスパーリングをする機会があったんです。友だちから「男の人と抱き合えるから、ホルモンバランスにもいいんじゃない?」と乗せられてやってみたら(笑)、黒帯の先生にフルボッコにされまして。それがあまりにも悔しくて始めることにしました。
――それから5年で世界大会に出られるほど打ち込んできたんですね。
ポールダンスと並行して始めたんですが、腕の腱をケガしてポールダンスができなくなったので、柔術に集中するようになりました。
2023年に北海道の大会で優勝して青帯に昇帯したんですが、そのときガリットチュウの福島くんが青帯で世界大会に出場したことを知っていたので、「私も出よう!」と考えたんです。それから世界大会までの8カ月間は、ストイックに食事制限と筋トレ、走り込みをして、週4日練習をしました。
2023年の北海道の大会で優勝(本人提供)
――相方のモリ夫さんは、柔術に打ち込むことについてどう言ってるんですか?
本当に「頑張れ!」と会うたびに応援してくれますね。今回は、モリ夫さんの経営しているお店が忙しくて来られませんでしたけど、直前まで「ラスベガスに応援しに来る」と言ってくれていました。
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出場選手は2人で準優勝
――世界大会の会場となったラスベガス・コンベンション・センターの雰囲気はどうでしたか?
メインストリートにある、すごく大きな会場でした。北海道の試合はマット(試合場)が3面くらいなんですけど、そこは50面くらいありましたね。応援席もブワーっとあって、「こんなところで試合できるのかな?」と雰囲気にのまれました。外国の人たちが応援でエキサイトしていて、「うわぁ、怖ぇなあ」って。
――やはり世界で人気のあるスポーツなんですね。
すごかったです。
――今回、種馬マンさんが出場した「マスター4(46歳以上)青帯ルースター級」は、どういう階級なんですか?
ルースター級は、いちばん軽い階級なんですよ。それで、海外は体格の大きな人が多いから、私の年齢の「マスター5(51歳以上)」だと、対戦相手が見つからなかったんです。だけど1つ下の「マスター4」には1人だけ対戦相手がいたので、そこで出ることにしました。
――ということは、世界大会準優勝ですけど実際には2人しか出ていなかったということですか?
そうです。ワンマッチです(笑)。でも、こういうのは言ったもん勝ちですし、実際に世界大会には出ているので、まわりの柔術家の人たちからも「もう世界2位ってことでいいよ」と言ってもらっています(笑)。
「青帯」取得でガッツポーズ(本人提供)
――どんな試合展開だったんでしょうか。
最初に私が相手の上になり、バックに回ってアドバンテージを取りました。その時点で残り時間が2分20秒くらいだったので「勝てちゃう!」と思ったんですけど。最後に逆転で上になられて、ポイントで負けてしまいました。
――柔術の試合には、アドバンテージやポイントというものがあるんですね。
柔道の技ありと効果みたいなもので、最初に私が効果を取ったけど、向こうに技ありを取り返されて負けたような感じです。でも、負けた私がマットからしょんぼりと降りたら、私たちより上の階級の女の子たちが「いい試合だった!」とすごく褒めてくれて、それはうれしかったですね。
――拮抗した戦いだったんですね。
はい。試合後にはジムの代表たちからも「悔しい負け方だったね」と言われて、「来年リベンジしよう!」ということになりました。うちのジムからは10歳の男の子も小学生クラスの試合に出たんですけど、その子も負けてしまったので「来年、リベンジ!」と2人で誓いながら帰ってきました(笑)。
――もしかしたら、来年も同じ選手との一騎打ちになるかもしれません。
そうですね。もう1人くらいエントリーしてくれたら三つ巴になって楽しいんですけど……。でも対戦相手の子も、私が1つクラスを下げて「マスター4」で出場したことを感謝してくれましたし、仲良くなりました。「来年も出よう」とお互いに約束したので、次は絶対に負けないようにします!
出典: FANY マガジン