得意技は「腕十字」
――改めて柔術の魅力を教えてください。
自分より強い人とスパーリングをしたときに、「ここ、上手いね!」と褒められるのが、うれしいんですよ。あと「こうしたら、もっと強くなるよ」とか言われると「マジか!」と思う。この歳になるとあまり褒めてくれる人がいないので、うれしいです。
柔術は努力がちゃんと目に見えて、試合に勝つと「すげえぞ、自分。こんなに頑張ってよかったー!」と思える。逆に負けたときは「悔しいけど、もう1回挑戦しよう」と思えるので、そういうものに出会えてよかったと思っています。
――よく褒められる技はあるんですか?
腕十字は褒められますね。技に入るときに「キレイに入れているよ!」と言われます。
――技をキレイにきめると、どんな気持ちなんですか?
やっぱりすごく楽しいですね。「もう1回やらせてください!」と言います。この歳になると、ひとつ動きを覚えると前の動きのことを忘れたりするので、何回も体に覚え込ませることが大切ですね。
柔術の練習風景(本人提供)
――昨年は、俳優の岡田准一さんや玉木宏さんらも『ワールドマスター柔術選⼿権』に出場しました。少しずつ柔術に注目が集まっているようですね。
ぜひ、(岡田さんや玉木さんと)スパーリングをしてみたいですよね(笑)。あと、今回のオリンピックに出ていた柔道の選手も、柔術をやっている方は多いみたいです。でも、芸能人の女性でやっている人は全然いないので、私が先駆者になりたいです。
――女性柔術家タレントの先駆けですね。
私はポールダンスも、実は目をつけるのがめっちゃ早かったんですよ。始めたときにやっている芸能人を調べたんですけど、ジェニファー・ロペスと種馬マンしかいなかったですから(笑)。だけど、最近はやる人が増えてきてしまったので悔しい。柔術こそは、女性の先駆者になれたらと思います。
ポールダンスの練習風景(本人提供)
――ガリットチュウの福島さんも柔術家芸人として活躍していますが、連絡を取っていますか?
全然取っていないので、取りたいんです。ガリットチュウとは、会ったことが1、2回くらいしかないんですよね。福島くんが札幌に来ることがあれば、うちのジムに出稽古に来てほしいし、教わってみたいですね。
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70歳になっても戦っていたい
――格闘技を49歳から始めること自体、珍しいことだと思いますが、柔術は年齢を重ねてもできる競技なのでしょうか?
60歳や70歳の方も多くやられていますけど、年配の方は、力任せではない柔らかい柔術をする方が多くて、そういう人になりたいと思わされますね。今回の大会でも70代の方たちが戦っていたので、私もそれぐらいになっても戦えたらと思います。
――体の調子が良くなることもありますか?
私はもともと血液の循環がよくなくて汗をかかなかったんですけど、すごく汗が出るようになって、冷え性が治りました。あと、腹筋と背筋を使うので、体のラインもキレイになる。それを自分で見るのも楽しみで、鍛えている人たちが脱ぎたくなる気持ちがわかってきました。
――本気で打ち込む趣味があって、自由に人生を楽しんでいるように見えます。
いままでは忙しくて自分の時間を取れなかったり、逆にヒマになるとお酒ばっかり飲んで過ごしたりしていましたけど、この歳になると「いい時間の使い方をしたい」と思うようになって……。お酒を飲んでいるときも楽しかったですけど、柔術を通じて出会うことのなかった人たちと仲良くなったりするのが、楽しく思えるようになりました。
出典: FANY マガジン
――柔術を始めるのに年齢は関係ないんですね。
そうですね。逆に、もし若いときに柔術にハマっていたかといったら、たぶんやっていなかったと思いますよ。遊ぶほうが楽しくて、「もう練習行かねー」「なんであんなにやられなきゃいけないの。痛いし、やーめた」となっていたと思います。
――今後は、柔術の魅力を普及することも仕事になりそうですね。
そうですね! モリ夫さんの経営している飲み屋の常連の女の子が、私の話を聞いて、いまではうちのジムで柔術を習っているんです。そういうのは素直にうれしいですよね。