経験値ゼロの高校生の演劇が観客を魅了!
そして『ものがたり博inぬまづ』を締めくくったのは、飛龍高校ドラマクラブとさこリッチ、ぬまんづによる演劇「おみねと島吉」。
これは、沼津市の小さな漁村に住む美しい女性おみねと嵐の海で出会った島吉との恋路を、淡島に祀られた弁天様が見守るというストーリーです。
飛龍高校ドラマクラブは部員が少なく、お芝居経験もないうえに、圧倒的な人手不足というピンチな状態からのスタート! ……だったのですが、若さゆえの柔軟な発想で、ピンチもお芝居のエッセンスとして追い風にしていきます。
出典: FANY マガジン
出演者によっては1人2役ならぬ1人3役を担当し、船が沖に出るシーンでは船を動かすのではなく、見送る人々や背景を動かすことで船が動いているように見せるなど、人数が少ないからこそ、芸人が協力するからこそ生まれる新しい見せ方で、会場を笑いで包み込みました。
主演のおみね役で、経験ゼロから台本作成に挑戦してくれた3年生の岩﨑さんは、「台本作りは動きやアイデアが難しかったですが、みんなの協力もあってやり切ることができました。高校生活で、最初で最後の晴れ舞台になると思うので緊張はしたけど、楽しんでやれた」と答えてくれました。
演劇「おみねと島吉」は、飛龍高校のALT(外国語指導助手)のジオ先生のセリフ「メデタシ! メデタシ!」で幕を閉じ、ものがたり博も会場全体の「めでたし! めでたし!」で締めくくられ、無事、大団円となりました。
出典: FANY マガジン
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ほかの市や町にも広げていきたい
最後に『ものがたり博inぬまづ』の実行委員長で、『絵物語 ぬまづ昔ばなし』の発行元である「e-monogatari」代表の青木一さんにお話を伺いました。
――今回、イベントが行われることになったきっかけはなんですか?
会場のプラサヴェルテさんが開館10周年で「何か大きなイベントをやりたい」というお話をいただきました。そして、どんなイベントをしようかと打ち合わせをしているなかで、奈良県で行われている「えほん展なら」のようなイベントができないかという話になったんです。そのときちょうど、僕が『絵物語 ぬまづ昔ばなし』にも携わっていたので、これをうまく組み合わせたら大きなイベントにできるのではないか、と考えたのがきっかけですね。
出典: FANY マガジン
――きっかけのひとつになった『ぬまづ昔ばなし』は、どういう考えで広めたいと思ったのですか?
「e-monogatari」編集長・渡辺純と「沼津市民、とくに沼津の子どもたちに、沼津にはいろんな昔ばなしがあるんだと知ってもらえたら、ワクワクして、自分の住んでいる沼津の街をもっと好きになるんじゃないか」という話をしました。その思いを、今回の展示や演劇に展開させました。
――僕たち住みます芸人を使っていただいたのはどうしてですか?
さこリッチさんとは、『ぬまづ昔ばなし』を広めていくにはどうしたらいいかという話をちょくちょくしていたこともあって、このイベントが決まったときに、真っ先にお知らせしました。(ぬまんづの)原さんにも別件でいろいろなお願いをしていましたが、「その街の魅力を発信する」ということに関しては、住みます芸人さんに協力していただくことで、より一層伝わりやすく、多くの人に興味を持ってもらえると実感しているからです。
――ありがとうございます。僕らもお仕事ではありながら、自分たちを応援してくれている沼津市や静岡県のために何かできることはとても嬉しいので、やれることがあれば全力でやらせていただきます。最後にこの「ものがたり博」の今後の展開をどう考えていますか?
ありがたいことに、沼津市をはじめとして近隣の11市町から後援をいただけたイベントなので、沼津での第2回・第3回はもちろん、別の市町でもグレートジャーニー(範囲を広げて展開)していけたらいいなと考えています。
――青木さん、ありがとうございました!
出典: FANY マガジン
ということで、今回は、沼津市で行われた『ものがたり博inぬまづ』のレポートをお送りしました。
沼津には素敵な昔ばなしがたくさんあって、それを楽しむ人たちがいる。今回のイベントは、そんな昔ばなしや絵本を中心に新たな出会いや物語が生まれていく素晴らしいものでした。ぜひ第2回には、皆さんも足をお運びください。