「システムを学んでいくことが楽しみで仕方ない」トンプソンがマブズへのフィットに自信「僕ならアジャストできる」<DUNKSHOOT>

 NBA選手にとって移籍はビジネスの一部であり、今夏も若手からベテラン、脇役からオールスター級まで多くのプレーヤーがチームを移った。そのなかでインパクトが大きかった移籍のひとつがクレイ・トンプソンのダラス・マーベリックス入りだろう。

 現役屈指のピュアシューターは昨季までゴールデンステイト・ウォリアーズ一筋で13年間(実働11年)プレーし、平均19.6点、3.5リバウンド、2.3アシスト、3ポイント成功率41.3%をマーク。一世を風靡したステフィン・カリーとの“スプラッシュ・ブラザーズ”で、2015、17、18、22年と4度の優勝を経験した。

 これまでトンプソンはウォリアーズで背番号11を着用してきたが、新天地のダラスではカイリー・アービングが使用しているため、名シューターのレジー・ミラー(元インディアナ・ペイサーズ)に敬意を表し、彼の背番号「31」でプレーする。

 レギュラーシーズン通算3ポイント成功数で歴代6位のトンプソン(2481本)は、5位のミラー(2560本)まであと79本と肉薄。ケガなどで長期離脱でもしない限り、今季中に憧れの選手の記録を超えることが確実視されている。

 現地時間9月30日(日本時間10月1日、日付は以下同)に行なわれたメディアデーにて、マブズのジェイソン・キッドHC(ヘッドコーチ)は現役時代のチームメイトで、2011年のマブズ初優勝にも大きく貢献したジェイソン・テリーの名を出してこう口にしていた。
 「このチームにはシューターが何人もいたが、ジェイソン・テリーあるいはクレイ・トンプソンはいなかった。クレイは歴代ベストシューターの1人として記憶される名選手。彼の存在は、オフェンス面でゲームを簡単にしてくれる。スペーシングはこのリーグにおいて重要なことだからね」

 34歳のベテランウイングは、昨季も平均3.5本の3ポイントを成功率38.7%で沈めてきた。今季もコート上を動き回って相手守備陣をかき回し、チームメイトからのパスからクイックリリースでリングを射抜くシーンを何度も見ることができるだろう。

 トンプソンはチームの中心選手であるルカ・ドンチッチとアービングのガードコンビを「うまく補完できる」と自信を見せている。

「新しいシステムへ馴染むためには数週間を要すると思う。でもラッキーなことに、10月24日まで開幕はしない。だからプレシーズン期間が最も重要になってくる。もう何年もやってきたことだから、明日からこのシステムを学んでいくことが楽しみで仕方ないんだ。僕ならシステムに従ってアジャストできるし、学んでいくことを楽しみにしている」

 14年目でキャリア初の移籍を経験したトンプソンは、昨季ファイナルまで勝ち進んだマブズのラストピースになれるのか。関係者やファンの期待値は日に日に高まっている。

文●秋山裕之(フリーライター)

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