男子テニスツアー「ロレックス上海マスターズ」(10月2日~13日/中国・上海/ハードコート/ATP1000)が2日に開幕し、大会初日のシングルス1回戦に度重なるケガからの完全復活を目指す元世界ランク4位の錦織圭(現200位)が登場。マリアノ・ナボーネ(アルゼンチン/同32位)を3-6、6-4、6-3の逆転で下し、同大会6年ぶりの初戦突破を果たした。
母国で開かれた先週の「木下グループジャパンオープン」(ATP500)では圧巻のプレーを披露して8強入りした34歳の錦織。2018年以来の上海OP出場となった今大会は本戦ワイルドカード(主催者推薦)で参戦しており、初戦では今年6月にキャリアハイの29位をマークした23歳のナボーネとの初対決を迎えた。
第1ゲームでの3本のブレークポイントを生かせなかった錦織は、疲労の影響からかミスが多発。何とか踏ん張ってキープを続けるも、迎えた第6ゲームではナボーネの強力なバックハンドに押される形でブレークを献上し、そのまま第1セットを落とした。
一進一退の攻防が続いた第2セットは第6ゲームで錦織が相手の度重なるミスに乗じて0-40とするも、勝負どころでの連続ミスが響きブレークならず。それでも冷静にプレーを続けてポイントを重ね、第8ゲームでは鮮やかなバックハンド・ダウンザラインのウイナーを決めてこの日初のブレークに成功する。直後の第9ゲームで痛いブレークバックを喫した錦織だったが、第10ゲームですぐに立て直し、得意のリターンを軸にブレークを果たしてセットオールに持ち込んだ。
勝負のファイナルセットでは動きのキレを完全に取り戻した錦織。第4ゲームで40-0から驚異の粘りで追い上げ、ブレークをもぎ取ると、第5ゲームでは0-30から、第7ゲームでは15-30からしぶとくキープ。サービング・フォー・ザ・マッチとなった第9ゲームでも相手の2本のブレークポイントを凌ぎ、2時間16分で試合を締めた。
試合後のATP(男子プロテニス協会)によるオンコートインタビューで錦織は次のように喜びを語っている。「この大会はアジアのマスターズだし、出るのが待ち遠しかった。アジアンスイングでプレーすることも待ち遠しかった。コロナ禍とケガによる約2年もの離脱もあり、ここでプレーするのは6年ぶり。だからここにいられて本当にうれしいし、1つ勝てたこともうれしい」
続けて試合内容をこう振り返った。「第2セットからは良いプレーができた。彼(ナボーネ)は序盤から非常にアグレッシブにプレーしていたし、僕を支配していた。何かを変えなきゃいけないと思っていた中で、第2セットと第3セットはうまく戦えたと思う」
錦織が2回戦で顔を合わせるのは第10シードのステファノス・チチパス(ギリシャ/12位)。両者は過去3度対戦しており、錦織が2勝1敗とリード。直近である8月の「ナショナルバンク・オープン」(ATP1000)2回戦では錦織が6-4、6-4で勝利している。
比較的得意にしているとはいえ、チチパスもリベンジに燃えているはずだ。非常に厳しい戦いとなるのは間違いないだろうが、次戦も錦織の奮闘を期待したい。
文●中村光佑
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