「子ども部屋おじさん」や「中年童貞」の増加
筆者も経験しましたが、団塊ジュニアを直撃した2000年代半ばから2015年くらいまでのブラック労働はすさまじく、企業は非正規労働者を徹底的に安く長時間使い倒しました。
もう、男性も女性も疲弊し、結婚どころではなくなってしまったのです。
現役世代に厳しい鞭を打つだけでなく、さらに高齢者大国をつくろうとしました。政府肝いりのゴールドプラン(高齢者保健福祉推進10ヵ年戦略)や、団塊の世代が後期高齢者になる2025年問題を大きく掲げ、介護保険制度の整備などを進めました。
高齢者を幸せにするための増税もとまらなくなり、若者たちはとても結婚や出産どころか、最低限の生活をすることも怪しくなっていったのです。
アラフィフの人々は無限の競争、無限の増税を強いられ、負け組は転落、女性たちは非婚、未婚のまま仕事を続けました。そして、異次元の少子化、国家の持続が危ぶまれる人口減少の現在を迎えてしまったことになるのです。
もう、おわかりでしょうか。
アラフィフの結婚しなかった、結婚できなかった男女のタイプは正反対なのです。
競争を強いられた女性は社会進出し、頑張って働いたことで結婚どころではなくなり、彼女たちの多くは年収の高いキャリアウーマンとして生きています。いわゆる「おひとりさま」女性として現在を迎えています。
一方、結婚できなかった未婚男性は競争に負けた非正規労働者や低賃金労働者が中心で、年収は低く、いわゆる非モテという層の人々です。
モテない男性が未婚として余り、自立することができない「子ども部屋おじさん」や、女性から排除される「中年童貞」という絶望的な人々も激増しました。
正規と非正規、高年収と低年収と、階層の違う男女がマッチングしなかったことが、アラフィフの生涯未婚率が過去に前例のない水準で爆上がりする理由なのです。
生涯未婚率の上昇には、そのような背景があるのです。なので、これから婚活をはじめるアナタは、同年代のキャリアウーマンか、もしくは結婚に失敗したバツイチ、またはシングルマザーを想定しながら婚活を進めていくことになります。
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ターゲットにする女性を人口動態で探る
アラフィフの中年男性が若い女性を狙うのは不可能だと伝えました。
その事実は、人口動態からも説明ができます。アナタがあわよくばと狙う結婚適齢期の28歳女性は、平成25年(1995年)生まれになります。いったいどれくらいの人数がいるのか、出生数を見てみましょう。
平成5年(30歳) 118万8282人
平成6年(29歳) 123万8328人
平成7年(28歳) 118万7064人
平成8年(27歳) 120万6555人
現在、結婚適齢期の年代は、男女合わせて120万人前後の出生数となっています。一方、人口のボリュームゾーンと呼ばれるアラフィフはどれくらいの人数がいるでしょうか。
昭和50年(48歳) 190万1440人
昭和49年(49歳) 202万9989人
昭和48年(50歳) 209万1983人
昭和47年(51歳) 203万8682人
20代後半とアラフィフでは、人口が1.7倍~1.8倍も違っています。人口動態から見ても、人生が終盤に差し掛かったアラフィフの中年男性が数の少ない20代女性を狙うというのは無謀なわけです。
婚活はたった1人を探す活動です。多くの中年男性は頑張って婚活をすれば、いままで埋もれてきた自分のことを見つけてくれる女性がいるだろうと妄想をしがちですが、残念ながら若い女性には基本的に相手にされません。
いままで母数の多い同年代から相手を見つけることができなかった男性が、数の少ない20代女性から相手を見つけるのは不可能だということです。
アラフィフ男性の婚活は、もう後がありません。このラストチャンスを逃したら、すぐにアラカンとなって、もう孤独死するだけとなります。
これから取り組む中年婚活は人口が多く、時代のパラダイムシフトによって結婚をしなかった、できなかった女性がたくさんいる同年代から探すのが鉄板となります。
文/ 中村淳彦