「NBAの笑いものからここまで築き上げてきた」。グリーンが語る王者のプライド「10年後に優勝しても、それは俺たちの功績だ」<DUNKSHOOT>

 現地時間10月3日、米スポーツ専門メディア『The Athletic』に、ゴールデンステイト・ウォリアーズのドレイモンド・グリーンのインタビューが公開された。

 ウォリアーズはハワイ州ホノルル郡ライエにあるブリガムヤング大学でトレーニングキャンプに臨んでおり、6日のロサンゼルス・クリッパーズ戦からプレシーズンゲームを6試合こなし、23日に2024-25シーズンの開幕(対ポートランド・トレイルブレイザーズ)を迎える。

 チームは今夏、クレイ・トンプソンがダラス・マーベリックス、クリス・ポールがサンアントニオ・スパーズ、ダリオ・シャリッチがデンバー・ナゲッツへそれぞれ移籍。それを埋める形でカイル・アンダーソン、バディ・ヒールド、ディアンソニー・メルトンをロスターに加えた。

 昨季はウエスタン・カンファレンス9位タイの46勝36敗(勝率56.1%)でレギュラーシーズンを終え、プレーイン・ゲームでサクラメント・キングスに敗れてプレーオフ出場を逃した。ウエストは4位のクリッパーズ(51勝31敗/勝率62.2%)からウォリアーズまで、7チームが5.0ゲーム差以内にひしめき合う大混戦。今季はさらに激しい順位争いが展開される様相で、ウォリアーズのプレーオフ返り咲きは決して安泰ではない。
  もちろん、チームには絶対的エースで在籍16年目を迎えるステフィン・カリーが健在。その周囲にもグリーンやアンドリュー・ウィギンズ、ジョナサン・クミンガ、ブランディン・ポジェムスキー、ゲイリー・ペイトン二世、ケボン・ルーニーといった主力メンバーも残っているため、開幕前にプレーオフ争いから除外するのは性急にすぎる。

 そうしたなか、2012年のドラフト全体35位でウォリアーズからドラフトされ、今季で在籍13年目を迎えるグリーンは、自分たちが残してきた功績について次のように表現した。

「俺たちがチャンピオンシップを勝ち獲れるかどうか、いや今から7年後か10年後にチャンピオンシップを手に入れることになったとしても、それは(ここにいる)俺たちの功績なんだ」

 カリー、トンプソン、グリーンのビッグ3体制で2012-13シーズンからプレーオフ常連になったウォリアーズは、2015~19年と22年に計6回NBAファイナルへ進出し、2015、17、18、22年と4度の優勝を飾っている。

 1995年から2012年までの18シーズンでプレーオフへ駒を進めたのは、2006-07シーズンの1回だけだったことを考えれば、驚異的な躍進ぶりだ。「俺たちはNBAの笑いものからここまで築き上げてきた。2年前、俺は(オーナーの)ジョー・レイコブに『この球団は俺たちのものなんだと理解すべきだと思う』と言った。別に彼ら(過去の所属選手たち)を侮辱するつもりはない。だけど俺はこのチームをここまで作り上げてきたことにプライドを持っている。ここが俺のホーム。俺にとっては(母校の)ミシガン州大のようなものなんだ。多くの連中がNBAでホームなんて持っちゃいない。この10年間、俺はこの組織とともに歩んできたんだ」

 グリーンは相次ぐ出場停止処分やトラブルなどで厄介者のレッテルを貼られてきた過去がある。それでも、オフェンスではスクリーナーやプレーメーカー、ディフェンスでは幅広い守備範囲でアンカー役を務めるなど、4度の優勝を飾る過程で不可欠な役割をこなしてきた。

 34歳のベテランはこれまで達成してきたことを誇らしく思いつつ、「俺はまだ終わっていないし、彼(カリー)もそう。『よし。もうキャリア終盤だから、カネを稼いでおこう』だなんてことはない。また優勝できるんだ」と口にし、こうも続けていた。

「だがまた優勝するためには、これまでのようにはいかないことを認識しなきゃいけない。このチームにそれができていないヤツがいるとは思っていない。今の俺たちは(チャンピオンシップチームを)作り上げるため、必要なピースをまとめようとしているのさ」
  若手とベテランがブレンドされたロスターで今季に臨むウォリアーズ。スティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)はグリーンの考えをこう捉えていた。

「どこだってチーム全体の雰囲気を作りたいものなんだ。チャンピオンシップを求めなければ失敗なんだとね。ただそれは現実的じゃない。我々にとっての現実は、自分たちには素晴らしい1年間を送り、好戦的かつタフでディフェンシブなチームになれるチャンスがあるということ。そうなるピースは揃っている」

 開幕から連勝街道を驀進するか、現有ロスターがフィットせずに黒星先行へ陥るかは蓋を開けてみなければわからない。ただ、経験豊富なベテラン陣がチームの根幹を支えていることは、ウォリアーズにとって貴重な財産となっていることは間違いない。

文●秋山裕之(フリーライター)