F1は第18戦シンガポールを終えた後、再び１か月間の中断期間に入っており、各チームは10月19日から開幕する次戦アメリカ・グランプリに向けて準備を進めている。
ビザ・キャッシュアップ・RB（以下RB）は、序盤の躍進から一転して、後半戦はアップデートの失敗もあって４戦連続でノーポイントに終わっている中で、再開後の巻き返しを誓っているが、そのための動きのひとつとして、ダニエル・リカルドからリアム・ローソンへのドライバーチェンジを断行した。
【画像】世界を舞台に活躍する日本人F１ドライバー、角田裕毅のオフの表情を大特集！ 昨季、第13戦オランダGP途中に負傷したリカルドに代わってF１緊急デビューを飾ったニュージーランド人ドライバーは、続くイタリアGPで早くも入賞に迫り（11位）、シンガポールGPでは予選Q３進出を果たしてチームメイトの角田裕毅を上回り、決勝では９位で２ポイントを獲得。そして、日本GPではスーパーフォーミュラ参戦の経験を活かして角田を追い抜くなど、幾度も見る者にインパクトを残し、５戦目となったカタールGPを最後に回復したリカルドにシートを明け渡した。
そして１年後、再びRBのステアリングを握ることになった22歳には、当然ながら多くの注目が集まることになるが、興味のひとつとして彼がセルジオ・ペレスの有力な代役候補としての実力を備えているかが挙げられ、これについてスポーツ専門チャンネル『Sky Sports』のジャーナリストであるレイチェル・ブルック氏は、以下のように見解を示している。
「昨季、リアムが登場して見事にやり遂げた時、我々は彼を称賛したが、今再びその期待に応える必要があり、彼の前にはレッドブルのシートがぶら下がっている。そのプレッシャーは非常に大きい。そこで彼がどう対処するのかを見るのは、非常に興味深い。昨季、翌シーズンにF１のシートが獲得できないと承知していながら、それでもパフォーマンスを発揮したことに感銘を受けたものだ。素晴らしい冷静な頭脳を持つ、優れたドライバーであり、来季レッドブルに入れる可能性もある。彼にとっては大きなチャンスだ」
一方、同メディアでコメンテーターを務める元F１ドライバーのアンソニー・デビッドソンは、「ローソンに与えられた目標はシンプルだ。すぐに前回のパフォーマンスを再現し、角田に圧勝することだ。チームメイトを予選で上回り、レースで勝ち、たくさんのポイントを獲得して、予想外のことを成し遂げることだ。レッドブルの期待を上回れば、彼はそのシートに座れる。そうでなければ、セルジオがシートに収まり続ける」と語る。
こうして、ローソンにスポットライトが当てられる一方で、レッドブルのジュニアチームとしての位置づけにあるRBで今季チームメイトを大きくリードし、随所で成長の跡を見せながら、各方面からも高い評価を受けている角田については、『Sky Sports』が「マックス・フェルスタッペンのチームメイトとして本気で考えられたことはない」と報じるなど、“昇格”は厳しいという見方が多い。
ただ、同メディアは「もし彼が今季の残り６レースでローソンに勝ち、さらにペレスが苦戦し続ければ、角田にはレッドブルへのステップアップの最大のチャンスが訪れるかもしれない」とも綴り、また前出のデビッドソンは「ユウキはF１にデビューしてから成長を遂げてきた。今や完成されたドライバーだと思う」と日本人ドライバーを称賛し、彼の現在の境遇に同情を示した。
「どんなドライバーでも、簡単に角田に勝てるとは思わない。彼は現状についてどう感じているのだろう？ 角田は毎回見過ごされてきた。これまでリカルド、ニック・デ・フリースといった新しいドライバーが加入し、毎回、角田が彼らを打ち負かしてきた。それは、ただの偶然とは思えない」
「可哀想なユウキは見過ごされている。なぜ彼にチャンスが与えられないのだろう？ なぜユウキがセルジオ・ペレスに代わるチャンスについて話されていないのだろう？ 彼がレッドブルに入ったら、もっと良い仕事ができるのではないだろうか？」
「彼は闘志溢れるドライバーだ。そして、フェルスタッペン相手に毎回２位になったとしても、あるいは10秒や15秒遅れでゴールしても、精神的に打ちのめされることはないだろう。彼は逞しいキャラクターだ」
すでに来季もRBで戦うことが決定している角田だが、今季残りのレースは今後の彼のF１キャリアを占う上でも重要なものとなりそうだ。またそれを抜きにしても、再び相まみえることになるローソンとのチーム内対決は非常に興味深い。
構成●THE DIGEST編集部
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