ブルックリン・ネッツのベン・シモンズは、来たる2024-25シーズンで現行の契約が満了を迎える。かつては3年連続でオールスターに選ばれた実力者だが、近年はメンタルヘルスの問題や故障で結果を残せていない。そんな苦境にある男に対し、元NBA選手のギルバート・アリナスが今後フィットする移籍先を提案している。
2016年のドラフト全体1位指名でフィラデルフィア・76ersに入団したシモンズは、ルーキーイヤーは右足の負傷で全休。1年遅れでデビューした17-18シーズンに平均15.8点、8.1リバウンド、8.2アシストの成績を残して新人王に輝き、19~21年にはオールスターに選出されるなど、ジョエル・エンビードと並ぶチームの看板選手として活躍した。
しかし、プロ入り当初から指摘されていたシュート力不足は解消されず、21年のプレーオフで戦犯の1人になると、同年オフにチームにトレードを要求。翌22年2月のネッツ加入後は背中や腰のケガ、メンタルヘルスの問題で長期離脱を強いられ、リーグ内での評価は急落した。
加入3年目の昨季は出場15試合で平均6.1点、7.9リバウンド、5.7アシストにとどまり、3月7日には腰の負傷に対処するため、残り試合を欠場が発表された。
過去3年で2度腰の手術を受け、来たる新シーズンはリーグ27位の年俸4033万ドル(約59億円)と完全に不良債権化しているシモンズ。2019年に結んだ5年総額1億7700万ドル(約259億円)の契約は今季終了後に満了となり、動向が注目される。
元NBA選手のアリナスは自身がホストを務めるポッドキャスト番組『Gil’s Arena』で、「シモンズは悪いシューターではない。ゲームにおいて、シュートに落とし込めていないのが問題なんだ。彼は昔のマジック・ジョンソン(元ロサンゼルス・レイカーズ)のような、オールドスクールのポイントガードだ。パスすることを(第一に)求めている」と、悩める28歳の大型PGについて見解を述べた。
「彼が平均14点、8リバウンド、8アシストをあげて、トレードされたとしよう。オールディフェンシブチームの選手を獲得することになるわけだから、どのチームもレベルアップが可能となる。ディフェンスが一夜にして変わるんだ。フェニックス・サンズで言えば、(ブラッドリー)ビールとともにポイントガードとして起用できる。何より彼は、パワーフォワードやセンターのポジションの守備もカバーできる」
シモンズはスティール王に輝いた2020年から2年連続でオールディフェンシブ1stチームに選出されたが、それは“全盛期”の話。近年の低調ぶりを考えれば、チームを劇的に変えられるかは未知数だが、アリナスは「彼の加入で恩恵を受ける西海岸のチームが現われるだろう。ボールを動かせるディフェンシブプレーヤーが入るわけだからね。KD(ケビン・デュラント)とシモンズによるピック&ロールの話もできるようになる」とサンズ入りを勧めた。
続いて挙げた新天地候補が、ルカ・ドンチッチとカイリー・アービングを擁し、オフにゴールデンステイト・ウォリアーズからクレイ・トンプソンを獲得したダラス・マーベリックスだ。シモンズが、ウォリアーズのドレイモンド・グリーンのようなディフェンスのアンカー役になれる可能性があると、アリナスは見立てる。
「ダラス? 彼らはディフェンスが課題だが、シモンズはドレイモンドになれるかもしれない。(シモンズが加入することで)スモールボールを取り入れられるだろう」
はたしてシモンズは今シーズン、自分の価値を証明できるだろうか。そしてその後の所属先がどこになるのかも注目だ。
構成●ダンクシュート編集部