現地時間9月30日(日本時間10月1日、日付は以下同)に行なわれたサンアントニオ・スパーズのメディアデーで、ヴィクター・ウェンバンヤマがキャリア2年目の挑戦に向けての熱い思いを語った。
彼曰く、サンアントニオに戻ってまず最初に自問したのは「自分はオリンピックの経験から、何を得たのだろう?」ということだったそうだ。
グループリーグでは日本にあわや敗戦という厳しい試合を潜り抜け、元世界王者のドイツには敗れる苦しい展開ながら、フランス代表は準々決勝で優勝候補の一角だったカナダを破り、準決勝でドイツとの再戦を制して決勝戦まで辿り着いた。
頂上決戦では“アベンジャーズ”ことチームUSAに98-87で屈したが、ウェンバンヤマはシニア代表で初となる国際トーナメントの舞台で、ほとんどの試合で得点、あるいはリバウンドにおいてチームハイの数字をマーク。日本戦では18得点、11リバウンド、グループリーグのドイツ戦でも14得点に12リバウンドのダブルダブルを達成した。
アメリカ戦では、8本の3ポイントを沈めたステフィン・カリー(24得点)をも凌ぐ、ゲームハイの26得点を奪取。活躍度を示す評価指数でもチームベストの20.8を記録し、大会に爪痕を残した。
「あれはとても豊かで、かつ厳しい経験だった。これからの自分の人生に役立つものをたくさん積み上げることができた」
2週間ほどの短い休暇の後、サンアントニオに戻ってトレーニングに励んだウェンビーは、体重も11kg増量したという。
「夏の間に取り組んだことの成果だ。これからも、もっともっとパワーをつけていきたい」
2年目の役割としては、昨年よりもコート上での自由度は減るだろうとウェンバンヤマは語っている。
「コーチと話し合ったことのひとつは、1試合で2度目、3度目、4度目の得点チャンスを得られるようなことはもうないということ。ここからすぐに結果を出していきたいのであれば、リーダーになる必要がある」
今季の目標として、ウェンバンヤマはたびたび”リーダー”という言葉を発している。
「自分の役割としては、前にも話したことだけれど、リーダーになりたいと思っている。ロッカールームでもだけれど、一番はコート上でだ。コートの両エンドにおいて、たとえばディフェンスでは基盤となれるように、オフェンスではプレーメーカーとしてチームメイトを上手く使えるような存在になりたい。
もし自分のスタンダード通りのプレーができて、いい形でチームを助ける働きができれば、オフェンスでもディフェンスでも、おのずと支配力を発揮することができると思う」
オフには、ウェンバンヤマ自身が「子どもの頃から見ていた選手」だという大ベテランのクリス・ポールがロスターに加わった。
「彼がここに来てまだ1週間くらいしか経っていないけれど、彼を見ているだけですでに多くのことを学ぶことができている。一緒にプレーするのが本当に楽しみだよ」
身長差41cmのウェンバンヤマとポールのコンビプレーには、ファンも期待していることだろう。
そんなウェンビーの今シーズンの目標は「プレーイン、あるいはプレーオフに進出すること」だ。
「もちろんオールスターにも出たいと思っている。でもそれは、チームのために最善の力を尽くせば実現すると確信している。それにあらゆるトロフィーの対象にだってなれるはずだ」
揺るぎない自己への自信。そしてそれを証明するためのたゆまぬ努力。20歳になったウェンバンヤマは、2年目となる今シーズン、どのような進化を見せてくれるのだろうか。
文●小川由紀子
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