1979年にテレビ放送が開始された「機動戦士ガンダム」第一話におけるガンダムとザクの戦闘シーンを再現したジオラマ作品がXで注目を集めています。ザクのコックピットめがけて、ガンダムがビームサーベルを突き立てるシーンの作例自体はよく見かけますが、本作はなんとブラウン管テレビをジオラマベースに用いてこれを再現。

 さらに、アニメ独特のパースを効かせた遠近効果も、パーツを加工することで見事に表現しています。まさにアニメのシーンそのままの出来栄え!

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 製作を行ったのは、ガンプラモデラーとして活動する「いべまに」さん。「超遠近法」という、異なる大きさのキットを使ったり、パーツをスクラッチしたりなどして、ダイナミックに遠近表現を行う作風を得意としており、過去にも同様の表現方法を用いた作品を多く手掛けています。





 いべまにさんさん自身、「初めて買えたガンプラはズゴック」という、いわゆるファーストガンダムのリアルタイム世代で、毎週の放映をブラウン管テレビで観ていたのだそう。

 大人になって、10年ほど前からまたガンプラを作るようになり、そんな折フリマサイトを眺めていると、たまたま当時アニメを見ていた時と同じような古いカラーテレビを発見。その瞬間「今ならあの時のあのシーンを、このテレビの中に再現させることができるんじゃないか?」という気持ちが沸き立ったことから、本作の製作がスタートしました。

 使用しているキットは旧キットと呼ばれるガンプラで、これをベースに得意の「超遠近法」を用いて各パーツを加工することで、アニメらしい表現に仕立てています。特に脚部のパーツだけ見れば、その大きさの違いは一目瞭然。陰影を際立たせる塗装の腕もお見事です。



 中でもいべまにさんが特にこだわったと語るのは、「旧キットの雰囲気を大事にしながら、ガンダムもザクもポージングを固めていったこと」。旧キット自体は簡易的な構造ながら、その造形は当時のアニメを意識したようながっしりとしたプロポーションとなっており、まさしくアニメ放映当時のシーン再現にはうってつけです。





 また、なるべくコストをかけないことも念頭に置いているそうで、今回のジオラマにかかった金額はキット代が3000円、テレビ本体は1000円、ジオラマ資材が1000円程度で総額5000円ほどなのだとか。それでこのクオリティに仕上げられるのは、いべまにさんの高い工作技術があってこそと言えるでしょう。

 ちなみに、このブラウン管テレビもアニメが放映されていた1980年製のものなのだとか。もしかすると実際にこのテレビで、当時ガンダムを観ていた人がいるかもしれません。そう考えると、作品により一層の深みが増すような気がします。



 製作期間およそ2か月ほどを経て完成した作品には、「素晴らしい!職人芸だっ!」「名場面をテレビの中で再現。これはスゴい完成度」といった声が続々。2万件近くのいいねが寄せられるなど、放映時の環境そのものを表現した作品に多くの方が驚いたもよう。



 「リアルタイムにファーストガンダムの放映を観ていたので、あの時のワクワク感をそのままに、約半世紀たった今、再現できたことに満足しています」

 完成後の心境をこう語ったいべまにさん。なお、テレビ本体は中のジオラマボックスごと取り出せるようにしているので、今後は第一話のもう一つの名シーンであるジーンザク爆散の場面や、ガンダムvsグフ、ラストシューティングのシーンの再現などを考えているとのこと。時代を超えたロマンたっぷりなジオラマ作品に今後も注目です。

<記事化協力>

いべまに@超遠近法さん(@kaijyunopapa

(山口弘剛)

Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 山口 弘剛‌ | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2024100702.html