攻撃的なプレーを武器に男子テニスのマスターズ1000シリーズで2度の優勝を含むツアー16勝、さらには全ての四大大会でベスト8進出も達成している男子テニスの名手、アンドレイ・ルブレフ(ロシア/世界ランク6位)。彼は今季のアジアシリーズでの全大会欠場を余儀なくされる寸前まで追い込まれたが、その理由があまりにも衝撃的だった。
米テニス専門サイト『Tennis.com』によると、ルブレフは先の「全米オープン」での4回戦敗退後、アジアシリーズ開幕に向けて中国へ発つ準備を進めていたが、「出発直前になって急遽手術が必要になった」というのだ。エントリーしていた9月中旬の「杭州オープン」(中国・杭州/ハード/ATP250)を欠場したのはそのためである。
それでも翌週のATP500シリーズ「中国オープン」(中国・北京/ハード/ATP500)には出場し、ベスト8へ進出。現在開催中の「ロレックス上海マスターズ」(10月2日~13日/中国・上海/ハードコート/ATP1000)も、初戦敗退には終わったものの予定通り参戦を果たした。こうした状況からルブレフの手術は極めて軽いものだったのではないかと言われていた。
だが、どうやら事態は想像以上に深刻だったようだ。ロシアにおけるATP(男子プロテニス協会)の公式放送パートナー『BetBoom Tennis』が10月3日にインスタグラム(@betboom_tennis)で公開したインタビュー動画でルブレフは、ことの詳細を次のように語っている。
「手術を受けなければ、手足の切断に至る可能性もあった。症状が出てから最初の3~4時間で全てが明らかになったのは幸運だった。というのももしそこから5~6時間が経っていたら、(四肢の)切断という結果が待っていたわけだからね。最終的には全てが時間内に終わり、予想よりも良い結果が得られた」
とはいえ術後の経過も「あまり良くはなかった」そうで、医師からは「1カ月間はベッドで横たわっていなければならず、何もできないだろうと言われた」とのこと。最後には「(思っていたよりも)すぐに復帰できたのは良かった」と安堵感をにじませた。
中国オープン2回戦勝利後のインタビューでは「チームメンバーの誰もが、僕がここ(北京)にいるとは思っていなかったはず」と話していたルブレフ。あと“数時間”遅かったら…と考えると恐怖を覚えてしまう話である。具体的な手術の内容は明かさなかったため、どのような疾患を発症したかは不明だが、今後は適宜休養を取りつつプレーを続けていってほしい。
文●中村光佑
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