新日本プロレスは、新日本の棚橋弘至社長とアメリカAEWのケニー・オメガ副社長が都内にある新日本プロレス事務所で対談した模様を公式動画で公開した。
【画像】新社長に就任した棚橋弘至が王者・ザックを見事撃破!|ベルク Presents WRESTLE KINGDOM 18 in 東京ドーム
現在は管理職兼レスラーの2人だが、ケニーは2014年11月にDDTプロレスから新日本に移籍すると、バレットクラブに加入。2015年の1.4東京ドーム大会でIWGPジュニアヘビー級王座を奪取し、新日本ジュニアの中心選手として活躍。2016年1月にバレットクラブのリーダーだったAJスタイルズを裏切り(それを最後にAJはWWEへ移籍)、新しいリーダーになるとともにヘビー級に転向。棚橋との王座決定戦を制して中邑真輔が返上したIWGPインターコンチネンタル王座を戴冠する。そのままケニーの勢いは止まらず、『G1クライマックス』に初出場すると、史上初の外国人優勝の快挙を成し遂げる。
2018年6月には時間無制限3本勝負でIWGPヘビー級王者、オカダ・カズチカに勝利して待望のIWGPヘビー王座を腰に巻いた。この試合後に盟友ヤングバックスとともに結成したゴールデンELITEは、Cody(コーディ・ローデス)も合流。ファイトスタイルの方向性の違いから、タマ・トンガらオリジナルメンバーとの間に亀裂が入り、バレットクラブは分裂してしまうが、これがその後のAEW設立に発展していくことになる。
一方、新日本を暗黒時代からV字回復させた棚橋は、オカダやAJとIWGPヘビー戦線を繰り広げていたが、2016年1.4ドームでオカダが保持していたIWGP王座戦に敗れてからは、インターコンチ王座などにシフトチェンジしながら、復活の舞台を狙っていた。そして2018年の『G1クライマックス』で飯伏幸太を破り、3年ぶり3度目の優勝を飾る。そこで手にしたIWGPヘビー級王座挑戦権利証を懸けて9月にはオカダから久々に勝利を飾ると、チャンピオンのケニーに照準を絞り「これはイデオロギー闘争」とケニーのプロレスを否定した上で、ケニーが不在のシリーズでも挑発をし続けた。この間にジェイ・ホワイトの暴走もあり、棚橋はオカダと歴史的な握手を交わす。そうして迎えた2018年の1.4ドーム大会でケニーが持つIWGPヘビー王座に挑戦した棚橋は、気持ちでケニーを上回り、IWGP王座を奪還。イデオロギー闘争は棚橋が勝利を収めた。この大会を最後にケニーは新日本を退団。ヤングバックス、CodyとともにAEW設立に動いていく。
あれから5年が経ち、棚橋は新日本の社長に就任。ケニーは昨年、ウィル・オスプレイが持っていたIWGP USヘビー級王座に挑戦するため、久々に新日本マットへ上がっているが、昨年末から憩室炎で長期欠場おり、新日本からオカダがAEWに移籍。ヤングバックスがケニーとのユニットTHE ELITEからケニーを追放し、オカダを迎え入れたことなどもあり、お互いに立場が大きく変わっている中、来年1月5日に東京ドームで、新日本、AEW、アメリカROH、メキシコCMLL、スターダムによる日米墨合同興行『WRESTLE DYNASTY』の開催が決定した。
この大会はAEWの日本公演を新日本やその提携団体(スターダムは傘下)が協力する令和版『日米レスリングサミット』(1990年4月3日に東京ドームで開催、WWFの日本進出に全日本プロレスと新日本が協力)とも言われている。AEWの副社長でもあるケニーと新日本の社長になった棚橋による対談は、この大会に向けた大きなプロモーションと言ってもいいだろう。新日本の事務所を訪ねたケニーに棚橋は「ウェルカム」と笑顔で出迎えてハグを交わした。「久しぶり! 5年ぶりだよ」と話しかけた棚橋もケニーも嬉しそうだ。
ケニーは「正直に言うと、その時のケニー・オメガは棚橋さんの最後にしたかった。でも最後にはならなくて。絶対に私の方が強かった。絶対に私の方が早かったのに何で負けたんだろう。それはここ(気持ち)ですよ。その日に学びました。今でも悔しい気持ちがあるけど、感謝したい気持ちもあります。ライバルとして」とあの試合の敗因について話すと、棚橋は「そういった部分を超越して気持ちの部分で闘えたのがよかった。5年という月日が流れて僕も社長になって、コロナ禍で不自由だったときに伸びてきた若い選手はいっぱいいる。欲を言えば、そういう選手とケニーが闘ってほしいし、一回ケニーを経験してほしいなというのがある。これからAEWと新日本プロレスが協力していけるんじゃないかという思いがある」とケニーの退団後に台頭してきた新世代の選手と対戦して欲しいと熱望する。
ケニーも「私が引退するまでに完全燃焼できる試合をしたい。それが新日本のリングだったら相応しい。久しぶりに日本での大会がありますが、日本のリングが初めての選手もいる。選手とファンがワクワクしている。それは気持ちいいですね。もし私が復帰ができたら最高です」と1.5ドームでの復帰と、新日本の選手との対戦を楽しみにしていた。さらに棚橋が「ヤングバックスとはあんなに仲が良かったのにわからないね」とTHE ELITEから追放された話を振ると「ヤングバックスは自分勝手。でも昔の私みたいだから、あまり怒ってない」としつつ「復帰ができたらヤングバックスと闘いたい。もし気持ちが一緒なら棚橋が味方で闘いたい」と棚橋とのドリームタッグでヤングバックスを制裁したい考えを明らかにした。
これに対して棚橋は「新日本のリングに上がってくれるなら、ケニーの思うような自分が理想とするプロレスをやってほしい」と語っており、イデオロギー闘争を経て、お互いに分かり合える部分があったようだ。
1.4ドームはもちろんのこと、1.5ドームも世界中のプロレスファンに注目される大会になるのは間違いない。WWEの1強時代に新日本とAEWが強力タッグを結成してプロレスの面白さを世界中に伝えていく。
文⚫︎どら増田
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