現地10月5日にプレシーズン初戦を迎えたゴールデンステイト・ウォリアーズは、ロサンゼルス・クリッパーズ相手に新加入のリンジー・ウォーターズ三世がブザービーターの3ポイントを成功させ、91-90で劇的勝利を収めた。
迎えた2戦目、10日のサクラメント・キングス戦ではチーム全体で3ポイントが大当たり。7本中6本成功(成功率85.7%)の固め打ちを披露した新戦力のバディ・ヒールドを筆頭に、ジョナサン・クミンガが7本中4本(同57.1%)、ディアンソニー・メルトンが9本中4本(同44.4%)、ウォーターズ三世が5本中3本(同60.0%)、ステフィン・カリーも6本中3本(同50.0%)と高確率でネットを揺らし、チーム全体で52本中28本、成功率53.8%をマークした。
試合も122-112で2連勝。昨季のプレーイン・ゲームで敗れ、シーズン終了を迎えた敵地ゴールデン1・センターで、自慢の長距離砲を爆発させた。
プレシーズンゲームながら、ウォリアーズがこの日叩き出した3ポイント28本はフランチャイズ史上最多。公式戦での記録は2023年4月9日のポートランド・トレイルブレイザーズ戦で決めた27本だ。就任11年目のスティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)は、手放しで選手たちを称えた。
「このチームで気に入っているのは、クレイ(トンプソン/現ダラス・マーベリックス)が抜けても、シュート力の厚みを保っていること。我々にはコートに出てスリーを決めてくれる選手がたくさんいる。チームにとって重要な要素になってくるのは確かだね」
指揮官が語った通り、ウォリアーズは今夏にキャリア通算2481本の3ポイントを沈めてきた名手トンプソンが退団。現役4位、リーグ歴代6位の実績を誇るシューターの穴を補完するのは並大抵のことではなく、選手層とシュート力を疑問視されていただけに、自信を植え付ける一戦になったと言えるだろう。
もちろん、重要なのは23日のブレイザーズ戦で幕を開けるレギュラーシーズン本番。それでもカーHCは「ほとんどがいいショットを打てていた」とシュートまでの過程も評価していた。
一方、キングス戦で先発起用され、2本の3ポイントを沈めたブランディン・ポジェムスキーはカーHCの存在が大きいと試合後に語っている。
「スティーブが鼓舞してくれる。キャンプでも3ポイントにフォーカスしてやってきたんだ。特にトランジションで3ポイントを打っていくことをね。ステフとクレイだけじゃなく、今のチームにはシュートを決められる選手たちが増えているよ」
キャリア2年目で今季の先発候補にも挙がるポジェムスキーは、この試合で22分44秒プレーして8得点、4リバウンド、2スティールに加えてゲームハイの8アシストをマーク。プレーメークでの貢献について「僕が考えているのは、正しいプレーを遂行していくことだけ。ゲームにインパクトを与えるために、たくさん点を取る必要はないんだ」と自信を覗かせていた。
ウォリーズは今後、4試合のプレシーズンゲームを戦って開幕を迎える。シュートは水物とはいえ、このタイミングでチームが持つポテンシャルの高さを垣間見せたことは、シーズンを見据える上で好材料となるに違いない。
文●秋山裕之(フリーライター)