サッカーW杯アジア最終予選第3戦が日本時間で10月11日未明にサウジアラビアのジッダで行われ、日本は鎌田大地の先制弾などで2-0と完勝。過去3戦全敗でノーゴールだったサウジでのアウェー戦で史上初勝利を決めた。森保一監督は「日本では朝早くからの試合開始にもかかわらず、たくさんの方が応援してくれたと思います。皆さんの“念”が届き戦うことができました」とコメントした。

 しかし…この試合はもちろん、今回のW杯アジア最終予選のアウェー戦は一切、テレビの地上波生中継がない。

「欧州や南米などのサッカー強豪国ではありえない話。野球では確かに大谷翔平の活躍はありますが、BSではあるもののメジャーリーグ中継があり、朝晩のニュースや情報番組でこれでもかというほど取り上げられる。世間の目は今、むしろドジャース対パドレスに向いているのではないか。サッカーファンとしては寂しい限りです」(夕刊紙記者)

 森保ジャパンのW杯最終予選で地上波による完全生中継がない主な原因は、高騰する放映権料。

「2018年からアジアサッカー連盟(AFC)との放映権のやり取りで間に中国系の代理店が入り、一気に額が跳ね上がった。結局、映像配信サービスDAZNが28年までの8年間で推定20億ドル(約2500億円)という驚愕な契約を結び、W杯最終予選のホーム戦だけは値を下げたバラ売りとなったことで、テレビ朝日がようやく買い取ったわけです」(前出・夕刊紙記者)

 日本サッカー協会(JFA)の宮本恒靖会長は、最終予選のアウェー戦で地上波生中継がないことに「JFAが何もしていないことはありません」とコメントしているが、

「JFAも自社ビル(JFAハウス)を売却しましたが、決して潤沢な資金があるわけではありません」(同)

 これまで苦戦続きだったW杯アジア最終予選とは違い、史上最強とも呼ばれる森保ジャパンだが、アウェーの海外にまで応援の“念”が届くような状況ではない。

小田龍司

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