テニス界で悲しみの声が続々と上がっているラファエル・ナダル(スペイン/現世界ランク158位)の引退発表。“ナダルの後継者”との呼び声も高い21歳の若きヒーロー、カルロス・アルカラス(同2位)もショックを隠し切れない様子だ。
既報の通りナダルは10月10日に自身のSNSを通じ、来月に母国で開かれる男子国別対抗戦「デビスカップ・ファイナルズ・ノックアウトステージ」(11月19日~24日/スペイン・マラガ/ハードコート)を最後に現役から引退すると報告。海外メディア『tennishead』によると、現在開催中のツアー大会「ロレックス上海マスターズ」(10月2日~13日/中国・上海/ハード/ATP1000)でベスト8入りしたアルカラスは同日の準々決勝が始まる1時間ほど前にその“衝撃ニュース”を聞いたという。
複雑な気持ちを抱えたままアルカラスは世界33位のトマーシュ・マハーチュ(チェコ)との準々決勝に臨んだが、6-7(5)、5-7のストレートで敗戦。4強入りを逃すとともに、先月の「レーバー・カップ」(ドイツ・ベルリン/ハード/男子団体戦)から続いていたマッチ連勝記録も10でストップした。
会見では「彼(ナダル)の引退ニュースを受け入れる時間はあったから、試合でのパフォーマンスへの影響はなかった」と述べたアルカラス。それでも幼少期の頃からプレーを見てきた偉大な先輩がツアーを去ってしまうと考えると、「明らかに受け入れることは大変だった」という。さらにこう続けた。
「それ(ナダルの引退)は誰にとっても本当に難しいものだが、僕にとってはことさら難しい。彼は僕がテニスを始めた頃からのアイドルだし、僕は彼を尊敬しているのだから。誇らしくも、僕は彼のおかげで、本当にプロテニス選手になりたいと思ったんだ。彼を失うことはある意味、我々にとって難しいことになるだろうから、僕は彼がプレーする時はできるだけ楽しんでそれを見るつもりだ」
今夏のパリ五輪ではダブルスを組んだアルカラスとナダル。2人はナダルの最後の大会となるデビスカップに加え、10月16日から4日間にわたりサウジアラビアで開催される「シックス・キングス・スラム」にも共に出場する予定だ。これを踏まえてアルカラスは再びナダル引退へのやりきれない思いを覗かせつつ、最後をこう締めくくった。
「僕ら2人は一緒にサウジアラビアでプレーし、その後デビスカップに出場する予定なので、彼との時間をできる限り楽しむつもりだ。でもそうだね、彼の引退はテニス界にとっても、自分にとっても残念なことだ」
同郷で心強くもあった“憧れの存在”がいなくなる―そのつらさは計り知れないが、スペインテニス界を担う次代のスターとして、アルカラスがナダルを超えていく姿を多くのファンが楽しみにしているはずだ。今後のさらなる活躍を期待したい。
文●中村光佑
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