ボディウォッシュ商品などで知られるパーソナル・ケア製品ブランド「ダヴ」の「#カワイイに正解なんてない」と題した広告が、物議を醸している。
ブランドを展開するユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社では、16~19歳の女性たちに容姿や体形に関するアンケートを実施。82.3%が何かしらのきっかけで自分の容姿や体形に自信がなくなった経験があると回答したという。
その回答を踏まえ、ダヴでは「彼女たちがスマホを開けば、そこには『正解』とされる基準の数々。それらはいつしか『こうならなくちゃいけない』という空気に変わりつつあります」とし、「ひとりひとりの声で、美の基準にNOを。」と訴えている。
さらにJR東日本渋谷駅と東急田園都市線渋谷駅B2F階段横に広告を掲出し、横顔美人に不可欠といわれる「Eライン」や、小顔かどうかの判断基準とされる「中顔面 6.5cm」など、SNSに溢れている「美の基準」に対し異を唱えている。ところが、この広告に「逆効果なのではないか」と疑問の声が相次いでいるのだ。
いわく、「こんなの通学中に見たら泣くわ。逆効果だろ」「美の基準をご丁寧に意味まで添えてしまったら、潜在化していたルッキズムがこれ見るたびに現れるよ」「この広告を見て『中顔面』や『出目』など美の基準となる用語が存在することを初めて知る人がいるのも事実。マジでいらんことするな」「余計な知恵つけるなよ」…などなど。美容ライターが語る。
「広告では『#カワイイに正解なんてない』としながらも、『顔の大きさ17cm』『人中短い』『バッカルコリドーなし』などといった、美の基準となる用語を解説しています。若年層の中にはこれらの用語を知らない人も多く、ポスターを見たことによって、逆に気になってしまった人も少なくありません。ルッキズムについて問題提起するのはいいのですが、そのようなワードで若者のコンプレックスを刺激するのはむしろ悪手じゃないでしょうか」
ダヴの調査によれば、自分を美しいと思っているのは、世界中の女性のわずか4%なのだとか。カワイイに正解がないのは事実なのだろうが、もう少し違ったアプローチもあったのではないだろうか。
(ケン高田)