ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってから10月16日で600日になる。激しい戦闘は今も続き、ドネツク州をはじめとする東部の多くの街が砲撃にさらされ、瓦礫の山となっている。

 一方、被害が少ないウクライナ西部は主要な疎開先となっており、西部最大の都市で旧市街が世界遺産に指定されているリヴィウの人口は15万人以上も増加。国内外の多くの企業も首都・キーウから移転し、経済の新たな中心地となっている。

 また、戦争の最中にもかかわらず、ここ西部には旅行者も訪れている。ウクライナ観光開発庁のマリアナ・オレシキウ長官は、昨年10月に共同通信が行った取材の中で観光客が少しずつ戻り始めていることを認めている。

 SNSには、戦時下のウクライナを訪問する旅行者の映像や画像が多数投稿されており、中には日本人ユーチューバーのものもある。

「外務省の海外安全情報では、ウクライナ全域が危険レベル4の退避勧告対象となっていますが、現在も戦争前同様にビザなしでの入国が可能。空港は閉鎖されたままですが、EU各国から毎日多くの鉄道やバスが運行しています」(旅行誌編集者)

 圧倒的に多いのはポーランドだが、ハンガリーやスロバキア、ルーマニア、モルドバの各隣国からアクセスが可能。さらに国境を接していないチェコやオーストリアからの直通列車もある。

「国際列車はほとんどがキーウまで行くのでリヴィウとの周遊もできます。また、ウクライナ西部にはブコベルなど欧州屈指のスキーリゾートもあり、旅行先としてのポテンシャルは非常に高いんです」(前出・旅行誌編集者)

 さすがに今の状況で訪れる勇気はないが、現地でお金を落とせば間接的な復興支援にもなる。戦争が終わった後なら旅行先として検討してみるのもよさそうだ。

 

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