10月27日に投開票を迎える衆議院選挙が公示された。自民党は政治資金パーティーの収入を不記載にした12人の“裏金議員”を非公認としたが、共同通信の世論調査ではこの対応について70%以上が「不十分」と回答するなど、世間の逆風は収まりそうにない。

 今回の選挙で裏金問題とともに大きな争点になっているのが物価高対策だ。10月13日放送の「日曜討論」(NHK)に与野党9党の党首が出演。石破茂総理は改めて消費税減税を否定し、余計な一言で多くの視聴者を落胆させる一幕があった。NHK解説委員の伊藤雅之キャスターが、「消費税の減税、これはなぜとらないのか。いかがでしょうか」と尋ねると、石破総理は「消費税を減税するというやり方をとったとしても、社会保障の安定的な財源が確保されないんです。消費税っていうのは、いかにして、直接税、法人税、所得税、景気が良ければドーンと入るが、景気が悪ければガーンと入らなくなる。それに社会保障を委ねるわけにはいかんのですよ。消費税を引き下げることは考えておりません」と述べて、当面は消費税率を上げることも下げることも考えていないと説明した。

 その後、伊藤キャスターから「これまで行われたもので、たとえば定額減税のような手法はですね、改めて再びというのはないのでしょうか?」という質問が出ると、石破総理は「当面、考えておりません」と即否定してこう続けた。

「つまり、物価高に国民のみなさんが苦しんでおられるわけですが、政府だって物価高の影響を受けているわけですよ。そして増収っていうのも、消費税、法人税、所得税、きちんと見ていかなければなりません。今すぐ定額減税っていうことを考えるということは思っておりません」

 この発言にSNSでは《え? 政府も物価高に苦しんでるからガマンしろって?》《政府も物価高で大変とか言っていいのか》《高給取りの国会議員が物価高で苦しいだと?》などと驚きの声が寄せられていた。

「石破総理の発言の後、れいわ新選組の山本太郎代表は『景気悪い時に安定した財源作っちゃダメなんですよ』と反論して、石破総理を『経済オンチ』と批判。これに石破総理は一瞬、顔を引きつらせ、山本代表は世界では景気が悪い時には消費税を下げるのが定石として消費税廃止を訴えました。先の政府も物価高の影響を受けているという不可解な発言とあいまって、消費税減税派からは石破総理に経済オンチの烙印が押された形に…。今回の番組で明確になったのは自民党にしても公明党にしても、野党第一党の立憲民主党にしても消費税の減税は見込めないということ。結局は庶民の暮らしとは縁遠い裏金問題が最大の争点になりそうです」(政治部記者)

 石破総理には、物価高が政府に与える影響について、詳しく説明してもらいたいものだ。

【写真ギャラリー】大きなサイズで見る