プレシーズン全休のエンビードがケガ対策に言及「強いて言うなら、残りのキャリアで2連戦にはもう出場しないだろう」<DUNKSHOOT>

 今夏の移籍市場で、フィラデルフィア・セブンティシクサーズは最も積極的な動きを見せたチームと言っていいだろう。

 大黒柱ジョエル・エンビードの周囲に、ポール・ジョージ、ケイレブ・マーティン、エリック・ゴードン、アンドレ・ドラモンド、レジー・ジャクソン、ガーション・ヤブセレを獲得し、さらにタイリース・マキシー、ケリー・ウーブレイJr.、カイル・ラウリー、KJ・マーティンと再契約を締結。

 2022-23シーズンにMVPに輝いたセンターのエンビード、リーグ有数の万能戦士ジョージ、昨季MIPに選ばれたマキシーによる“ビッグ3”はバランスも良く、シクサーズは優勝候補の一角に浮上したという声もある。

 ただ、現地時間10月23日(日本時間24日、日付は以下同)のレギュラーシーズン開幕戦まで約1週間に迫った現在、早くもチームに暗雲が立ち込めている。

 14日のアトランタ・ホークスとのプレシーズンマッチで、ジョージが第2クォーター途中に左ヒザを痛めて途中退場を余儀なくされたのだ。

 ニック・ナースHC(ヘッドコーチ)は試合後に「大丈夫だと願っている。彼がすぐに戻ってきてくれるとね」とコメントし、ジョージ自身も「あの時すぐに(ヒザを)伸ばしすぎてしまったと感じた。けど僕自身はあまり心配していない」と地元メディアに話していたことから、長期離脱は回避できたのかもしれない。
  とはいえ、シクサーズは13日にエンビードのプレシーズンゲーム全休を発表。昨季は1月末にヒザの手術で39試合の出場に終わっており、これは左ヒザのケガを管理するためのものだという。

 キャリア最初の2シーズンを足のケガで全休しているエンビードは、直近8シーズンの計637試合のうち、プレーしたのは433試合のみ。213㎝・127㎏のセンターは、トレーニングキャンプ時に25ポンド(約11.3㎏)から30ポンド(約13.6㎏)減量して参加したが、本人はヒザへの負担を軽減するため、さらに体重を落とすことを望んでいるようで、ケガや疲労の管理は今後のキャリアを大きく左右することになる。

 シーズンMVPに2度の得点王、オールスターに7度、オールNBAチームに5度、オールディフェンシブチームにも3度選ばれてきたエンビードは「(個人としては)すべてを成し遂げてきた。だがひとつだけ欠けている。それがチャンピオンシップを勝ち獲ることなんだ」と話しているように、王座獲得への思いは人一倍強い。

 ジョージやマキシーといった強力なチームメイトを手にした30歳のビッグマンにとって、目指すのはNBAチャンピオンのみ。そのためにはシーズンを通じて、そして肝心のプレーオフを健康体でプレーし、一線級のパフォーマンスを発揮することが必須。
  2024-25シーズンの開幕に向けて、エンビードはその解決策として「強いて言うなら、俺は残りのキャリアで2連戦にはもう出場しないだろう」と話していた。

 シクサーズのバスケットボール運営部代表のダリル・モーリーも「コンディションについては抜け目なくやっていく。ポールとジョエルには2連戦でプレーさせないこともそのうちのひとつだ」と発言している。
  今季のシクサーズは先発陣だけでなく、ベンチにもラウリーやジャクソン、ゴードン、ドラモンドといったベテラン陣が控えているため、エンビード抜きでもレギュラーシーズンなら十分戦えるロスターを形成している。

 だが、チームが1983年以来のリーグ制覇を達成するためにはエンビードの存在が不可欠。昨季も平均33.6分の出場で34.7点、11.0リバウンド、5.6アシスト、1.2スティール、1.7ブロックの好成績を残しただけに、シクサーズのフロントとエンビード自身にはケガの問題をクリアしてシーズンを乗り切ってほしい限りだ。

文●秋山裕之(フリーライター)

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