11月19日に母国で開幕する男子テニス国別対抗戦「デビスカップ・ファイナルズ・ノックアウトステージ」(スペイン・マラガ/ハードコート)を最後に現役から引退することを発表した元世界ランク1位のラファエル・ナダル(スペイン/現153位/38歳)。「終止符を打つのに適切な時期」と、栄光のキャリアに幕を閉じるタイミングとしては自身でもある程度納得している様子だ。
しかし約25年以上にわたってナダルを指導した叔父で元コーチのトニ・ナダル氏は、甥は理想的な形で引退するようには思えないと自身の考えを主張する。先日スペインの大手ニュースメディア『Marca』の取材に応じた同氏はこうコメントした。
「ラファ(ナダル)はクレーコートで再び良いシーズンを過ごしたかったのではないかと思う。それは勝つか、少なくとも良いレベルのパフォーマンスをするという意味だ。だから彼が望んでいたように引退するわけではないだろう。人生は予想以上に良いことが起こるから、私は彼に『文句を言うな』といつも言っていたよ」
ただし甥が下した“しかるべき決断”には、トニ氏も一定の理解を示している。2022年9月に右ヒザの故障で引退したロジャー・フェデラー氏(スイス/元1位)の経験と重ね、ナダルも晩年の度重なるケガとの戦いによる“理想と現実の乖離”が原因で選手生活に別れを告げることになったと語った。
「今振り返ってみると、なぜラファが引退を先延ばしにしたのかはわかる。彼はまだベストを尽くせると期待していた。でも(フィジカル面や結果の面で)納得できなかったから引退を決めたわけだ。彼の身体がなかなか(気持ちに)ついてこなくて、無理をするとどこかを痛めてしまう。同じことがフェデラーにも起こった。彼も2年間努力したが、(右ヒザのケガが治らず)プレーを辞めることになってしまった」
引退発表の数時間前には、ナダル本人から家族内のチャットツールを通じてトニ氏の元に連絡があったという。「家族のチャットがあって、そこには5人の兄弟と年上の甥っ子たちがいる。私はかなりドライな人間だから、彼には『(これまでの功績に)おめでとう、良いキャリアを築いたね』とだけ返信した。他の人はもう少し長い返事を書いていたけどね。私は元々回りくどい言い方をしないだけで、怠け者というわけではないよ」と簡潔に当時の詳細を明かした。
なお、ナダルが最後に戦うデ杯ノックアウトステージ(ファイナル8)では、オランダとの対戦が決まっている。スペインチームの監督を務めるダビド・フェレール氏(元3位/42歳)によると、ナダルはシングルスに起用される予定で、ボティック・ファンデザンツフープ(68位)との対戦が予想されている。
文●中村光佑
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